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短編

滑舌悪いオペレーター奮闘記 完結編

作者: oga
掲載日:2016/03/17

銀行のエントランスに取られた人質の数およそ20人、一般の客も含まれている様子だった。

強盗の数は5人、うち3人が人質にサブマシンガンを突きつけ、出入り口に1人ずつ、同じくサブマシンガンを持った強盗が待機している状況。


建物の構造から、侵入できるルートは3つ。

正面入り口、裏口、そして、隣の建物伝いに、2階から侵入、の3つだ。


作戦はおおざっぱに3つある。

1、突撃

これは文字通り、正面から一気に警察を投入して、制圧する方法だ。

そのためにまず、入り口と出口の強盗を始末しなければならない。

見通しのいい正面からでは、敵の恰好の餌食になるため、大体裏口から攻めていくことになるが、敵が無線で連絡を取っていた場合、突入がバレれば中の人質はただでは済まない。

そのため成功率は低めだ。

2、狙撃

突入せず、中の強盗を一人ずつ葬っていく作戦だ。

これは、突入と同時に行われる場合が多い。

今回のようなケースなら、まず人質に銃を突き付けてる強盗を先に始末し、突入により、入り口と出口の強盗を後から始末していく。

3、交渉

これが一番の安全策で、基本はまずこの交渉から進めていく。


オペの仕事は、人質の数、建物の構造、敵の配置、持っている武器、相手が無線でやり取りしているかの有無、を現場の警察にデータ送信し、突入時の敵の動きの補足が主となる。


「オペレーター、聞こえるか?」

隊長のレイジが連絡してくる。

「データの送信を頼む」

「了解しました」

直ちに、建物をスキャンし、そこから得られた必要なデータを送信した。

「オーケーだ、突入時はよろしく頼む」

「了解」

突入だけはやめてよね、今回はシュンがいるから、私のオペでやられるようなことになったら、立ち直れないわよ…


ネゴシエーターのゴウが交渉に当たっていた。

しかし、かなり狼狽していた。

「こちらはどんな要求でものむ、お互い、穏便に済ませるのが正しい選択じゃないか?」

「今、建物内に爆弾を設置した。もしそちらが突入すれば、それを起動させる。そうしたら人質は皆死ぬ。

加えて、今から10分置きに人質を一人ずつ始末していく。それを止める方法は、そちらの隊員の死体を一人ずつ差し出すことだ。それで10分は人質を殺すのをやめてやる」

「君たちの要求を教えてくれ、隊員の命など、本来の目的とは違うはずだ」

しかし、その会話は途切れてしまった。


「爆弾はプラフですね」

「了解だ、突入の準備に入る」

さっきのスキャニングで、爆弾の存在は確認されなかった。

突入を防ぐためのプラフだわ。

しかし、相手の狙いが分からないわね。

金が目当てなら、そういう要求を出すはず。

隊員の命なんて、相手にとってどんなメリットがあるのかしら?


別チームから連絡が入った。

「犯人の身元判明、全員殉職した警察官の身内です」

「何っ!」

署内に動揺が走った。


更にネゴシエーターのもとに、新たな連絡が入った。

「オペレーターに伝えろ、俺たちはお前の殺した警察官の身内のものだ、大事な人間を失った苦痛を味合わせてやる、お前の同僚を一人ずつ殺し、同じ痛みを味合わせてやる、まずは、お前らをその気にさせる」

ドンという銃声、そして悲鳴があがる。

「やめてくれっ!」

「次の10分を楽しみにしている」

そして通話は途切れた。


「……どうやら、オペレーターのお前に恨みがあるらしい」

「そんな……」

今まで私のミスで死んでいった警官の身内が犯人、そして、私を苦しめるのが目的なんて……

「安心しろ、お前を差し出すような選択肢は存在しない、突入のカウントダウンに入る」

ドクン……

滑舌の悪さがこんな波紋を呼ぶなんて……

そして、この突入で、シュンは死ぬかもしれない。

相手はやりあう気だ。

ああ、なんでこんなことに……


「突入開始3分前!」

「データ送信します!」

相手の配置は変わらず、もう人質が一人死んでしまった以上、強行策を取らざるを得ない。

狙撃の範囲内に相手も現れない。

一番成功率の低い方法を取らざるを得ない。

「ジュリア、聞こえるか?俺だ」

この声はシュン

「聞こえるわ」

「君のオペ次第だ、それで人質が助かるかどうかが決まる」

こんな時にプレッシャーかけないでよ

「俺の命は二の次でいい、とにかく、人質優先のオペを頼むぞ」

やめて、やめてよ……

「いくぞっ!」


隊員が突入した。

「入り口付近に敵がいます、気を付けて」

何とか言えた。

でももう口が言うことを聞かない。

「人質をとらえてる犯人3人に動きあり、す、速やか、速やかに犯人さ……犯人確保に……」

もうだめ!!

「ジュリア!」

頭の中が真っ白になった。

なんでこんなことに……

「問題ね、聞き取れらし」

え?今なんて??

「津軽弁の勉強したんだ 問題きゃえさ」

まさか、私のために津軽弁を!?

それならもう気にすることはないわ!

「そのまま突き当りば、右さいってけろ!」

「了解!」


終わり




まじめか

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― 新着の感想 ―
[良い点] 津軽弁の勉強したって……。や、優しい……(笑) [一言] 確か、日本軍は、通信手にあえて、ばりばりの薩摩弁(うろ覚えですが)の方を起用して、敵国の傍受に対応したと聞いたような……。 ジュリ…
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