表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/35

あたし暴走!?

「比奈さんっ! どうしたの!? 目が、目がすわってるよっ!?」

 

 あたしの体の下で必死に叫ぶ小宮。

 

「そう? いつも通りだよ〜」

 

 何故だかにんまり笑ってしまう。頬が勝手に緩む。

 

「ノド、乾くね。熱くない?」

 

 あたしは小宮の腰の上に跨ったままテーブルに手を伸ばした。

 まだ残ってるピーチジュースの缶を取って一気に飲み干す。

 喉の渇きが潤って気持ちいい。

 体が熱くて溶けそうだったんだ。

 

「っ! 比奈さん! それ、ジュースじゃないよ! カクテルだよ!」

「カクテル〜? あれ? そんなモンうちにあったっけ?」

 

 小宮の言葉につられてピーチの缶をじっと見る。

 何か色々書いてあるけど何故だか頭に入ってこない。7%って数字だけが辛うじて読み取れた。

 

「果汁7%!? すくなっ!」 

「アルコール7%だよっ!」

 

「そなの?」と呟きながらピーチの缶をテーブルに置いて、今度は小宮のグレープの缶を取ってみる。

 

「小宮のは50%もあるじゃん。アルコールなわけないっしょ〜」

「そっちは果汁だよ! 比奈さんのピーチだけカクテルなんだって!」

 

 ふーん。まぁどうでもいいや。

 美味しかったし。

 

「細かいことはいいじゃん」

 

 笑って言いながら胸のリボンを引き抜いた。

 制服の赤いリボンはただの布切れになってハラリと床に落ちた。

 

「なっ! なんで脱ぐの比奈さんっ!?」

「ん〜? 暑くって」

 

 小宮はさっきから何をごちゃごちゃ言ってるんだろ。

 暑いから脱ぐのは当たり前じゃん。

 胸のボタンを3つ開けて胸元を開く。涼しい空気を肺に吸い込む。

 

「比奈さんどいてっ! お願いだから!」

 

 真っ赤な顔を横に逸らして叫ぶ小宮。

 あたしを見ないようにしっかりと目なんか瞑っちゃって。ちょいちょい。

 

 

 ……ムッとキマシタヨ。

 

 

「あたしの胸を見るのイヤなの!? これでもDカップなんですけどぉ!」 

「お、大きさの問題じゃなくて……」 

「結構美乳だって言われてんだから!」

 

 開いたシャツから覗く谷間を見せ付けるように胸を反らす。

 

 今日は下着だって高いヤツなんだからね!

 

「も……ムリ……。頭、くらくらしてきた……」

「気絶したらイタズラしちゃおーっと」

「ええっ!?」

 

 反射的に振り向く小宮の顔に覆い被さる。

 なんだか意地悪したくなってきて、唇を重ねて吸ってみた。

 

「ん……はっ。や、やめて比奈さんっ」

「やぁ……。もっとするのぉ……」

 

 止められない。どんどん熱くなる体が止められない。

 制御不能で、声まで甘ったるくなってきたし。

 

 いつのまにか小宮のネクタイも外して、シャツのボタンを開いてる。

 露になった首筋にキスを落とすあたしがいた。

 

「〜〜〜〜っ。う……やめ……んっ」

 

 首筋から鎖骨。感じやすい部分に唇を滑らせて。

 時々ペロッと舐めると、小宮の体がビクンッと跳ねて、熱い吐息が漏れた。

 

「ん……気持ちイイ?」

 

 上体をずらして潤んだ瞳を覗き込む。

 

「あたしにもして……」

 

「ム……リ。も……ちから、はいらな……から……」

 

 弱すぎだよ小宮。もう……。

 

 ま、どうせ小宮は休火山だし。

 エッチなんてできないもんねどうせ……。

 

 ………………。

 

 あれ?

 

 その時、気付いた。

 あたしの足に触れてるモノ。

 

 小宮の足に絡みつかせたあたしの足は、腿が小宮のコカンにちょうど当たってて。

 

 気のせいかもしれないけど。

 

 

 ……ちょっぴり……固いような…………。

 

 

 

 ………………。

 

 

 

「もしかして、ムラッてきてる? 小宮」

 

「えっ……。そ、そんなこと……」

 

 

 あ。

 

 今、ちょっと動いた。

 

 

 慌てて否定する小宮の顔をじっと見る。

 

 あたしから目を逸らそうと必死の小宮。

 視界に入ろうと目を追いかけたら、ぎゅっと瞼を閉じてしまう。

 

 

 も、もしかして図星……?

 

 

 小宮があたしにムラムラしてくれてる!?

 

 

 

「なんだぁ〜。小宮もソノ気になれるんじゃん! じゃあこのままあたしが上で……」

 

「だっ、ダメっ! そんな初体験、嬉しくないよ!」

 

 うっ。それは確かに……。

 男としての立場がないもんね。

 

「でも小宮から抱けるようになるのなんて……」

 

 そんなの、いつになるか分かんない。

 

 あたしは今すぐにでもエッチしたいのに。

 

 もしかしたら、卒業までこのままかもしんないし。

 

 卒業後も友達でいられるか分かんないし……。

 

 小宮にだって好きなコが……。

 

 できるかも……。

 

 …………。

 

 

 

 

 やっぱり、このままエッチしたい。

 

 

「思いっきり気持ちよくしたげるから、ね? やろうよ、小宮。 てゆーかやっちゃいまーす!」

 

 考えるのがメンドくなって、再びガバッと小宮に覆い被さった。

 

「ええっ!?」

 

 だってせっかくここまできたんだし。

 あたしが上でもいいからエッチしたい。

 このまま肌を合わせてれば、きっともっとソノ気になってくれて、もしかすると小宮からガバッ! とか来てくれるかもしんないし!

 

 

「ス・ストップ! お願い比奈さんっ! 僕、まだ心の準備がっ!」

 

 

 却下!

 

 

 潤んだ瞳で訴える小宮の口を塞ぐ。

 息もできないほどに、何度も何度も。唇を合わせて言葉を吸い取る。

 

「んんっ!」

 

 抵抗する体から力が抜けていった。

 

 

「小宮……。あったかい……」

 

  

 気持ちいい。

 小宮の体温が気持ちいい。

 ずっと抱き合ってたい。ずっと傍にいてほしい……。

 

 ボーッとする頭の奥で、何かが止まれと叫んでるけど。

 そんな声に耳を貸したくない。

 

「ダメ、だ、比奈……さ……今……正気じゃない……僕……」

 

 小宮が何かを言ってるのに。

 もう何を言ってるんだかよく分からない。

 

「このまま・が……傍に……いれ……たら……んぅっ」

 

 首筋に舌を這わせ、耳たぶを軽く噛む。

 全身をビクッと痙攣させた小宮がグッタリしちゃっても。

 

 痺れた頭はただもう小宮だけを欲していて。

 自分を止めることなんてできなかった。

 体が熱くて熱くて仕方ない。

 

 なんでだろう。

 なんでこんなに気持ちいいんだろう。

 離れたくない。離したくない。

 小宮とずっと一緒にいたい。

 

 小宮の耳も。

 小宮の額も。

 小宮の唇も。

 

 全部、あたしのものにしたい。

 

 そしたらきっと――あったかくなれるから。

 

 

 お願い。離れていかないで。

 

 

 このメガネも……。

 

 

 茶色のメガネ……。

 

  

 メガネ……。

 

 

 

 ……。

 

 

 

「邪魔」

 

 なんでいつまでもメガネかけてんの?

 曇ってて目がよく見えないし。

 

 小刻みに震える小宮のトレードマーク――茶色のメガネに手をかける。

 フレームをつまみ、そのままスッと一気に引き抜く。

 

 ――――と

 

「わっ! こ、小宮、カッコイイ〜〜!!」

 

 なにこれなにこれなにこれ〜〜!!

 

 頭の靄が一気に晴れた。

 思わず叫んで小宮の顔を覗きこむ。

 

 すっと通った鼻筋に、二重まぶたのくっきりした眼。

 意外と長い睫がセクシー度を上げてて。

 

 小宮のメガネを外した顔は、予想以上に整ってたのだ!

 

「メガネ取るとそんなにカッコイイなんて超反則! コンタクトにするべきだよ小宮〜」

「反則って……」

 

 小宮の顔を両手で挟んでまじまじと観察。

 困ったように眉尻を下げてるその表情も、カッコ良さに可愛さをプラスして超あたし好み!

 

 うわ〜っ。なんかワクワクしてきたっ。

 もしかして小宮って、かなりいい素材持ってるんじゃない!?

 

「ちょっと髪も整えてみようよ! ムースとか使ってさ〜。あたしがスタイリングしたげる!」

 

 起き上がって鏡台に駆け寄った。

 

 きっとスタイリングするとすっごくカッコ良くなる!

  

 ウキウキしながらムース缶とコームを手に取って振り返ると――

 

 

 

 あ。

 

 

「あ、あはは。それはまた今度お願いするよ」

 

 引き攣り笑いを浮かべた小宮が、服を整え、鞄を抱きかかえて立っていた。

 

 

 

 ああああああああ!! あたしってばせっかくのチャンスをぉぉぉ〜〜〜!!

 

 

 

「待って小宮! せめて髪いじらせてぇ〜〜!」

「じゃあ比奈さん、僕、もう帰るから。また明日〜〜〜っ!」

 

 脱兎の如くの素早さで部屋を走り去ってく小宮。

 ちゃっかりメガネも消えている。

 追いかけようとしたけど、何故か足がふらついてうまく立てない。

 床に膝をつきながら、虚空に手を伸ばした。

 

「ごめん! もうやんないから! ネ! あぁ〜〜んコミヤぁ〜〜〜!」

 

 そんなぁぁ〜〜っ!

 

 バタン、と残酷に響くドアの音――

 

 

 

「行かないでぇ〜〜〜〜!!」

 

 

 

 

 超がっくり。

 

 

 

 

いつもネット小説ランキングや NEWVEL などのランキングサイトに投票してくださってる方々。

ポチしてくださってる方々。

評価・レビューをくださった方々。

そしてこの作品を読んでくださってる方々。

 

どうもありがとうございます。m(_ _)m

皆様に応援していただけて、卯月は毎日喜んでます。

頑張って最後まで書こうという意欲が湧いてきます♪

本当に感謝感激です。(T T)

 

さて、物語は中盤にさしかかりました。

ここまでただイチャイチャしてただけの二人ですが、少しずつ風向きが変わっていきます。

複雑な心境のため、煮え切らなかった小宮も・・・。

頑張れ、純情少年。

こいつがさっさとコクればいい話なのにね。(笑)

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ