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本野夢詩 短編集1

月に映るもの

作者: 本野夢詩
掲載日:2015/12/02

東京スカイツリーの展望台から、空に浮かぶあるものを見た人が言った。

「ウサギが餅をついている」


砂漠で空に浮かぶあるものを見た人が言った。

「吠えるライオンだ」


カヤックで川を移動していた人が、空に浮かぶあるものを見て言った。

「バケツを持った人だ」


北欧の海賊は、空に浮かぶあるものを見て言った。

「水を運ぶ二人組だ」


戦車を200機以上撃破した飛行機乗りは、空に浮かぶあるものを見て言った。

「誰だ。あそこで薪を担ぐのは」


当地を代表する闘牛士が、空に浮かぶあるものを見て言った。

「でかいカニがなんで水もないあそこにいるのだ?」


アルプスの酪農家が、空に浮かぶあるものを見て言った。

「本を読む人がいる」


みんな、同じものを見ているはずなのにそこに映るものが違って見えるのはなぜだろう。


あなたは、空に浮かぶ月の模様を見て何を思い浮かべますか?


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