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お題小説短編集

霊達と話しが出来るようになったんだけど、霊達が真面目で私することないんだけどどうしよう

作者: 独りっ子

お題「話」「霊」

 霊と話ができるようになりました! おめでとうございます!


 普段通りに起床した彼女を困惑させたのはそんな手紙だった。可愛らしい丸字で書かれているそれは、メルヘンチックでピンク色をしている。そんなものが枕元に置かれているのだ。その戸惑いと驚愕の気持ちは大いにわかる。


「霊っていうのは幽霊?」


 目元にかかる髪を軽く払ってつぶやく。基本的に彼女は独り言が多い変人なので、痛々しいとか思わないであげてほしい。そんな彼女の周りをふわふわと漂っている霊がいるが、彼女は気付いていないようだ。人魂、というカテゴリーに当てはまるだろう白いふわふわとした物体は、意を決し、彼女の目の前に現れた。


「へ?」


 女子力のないリアクション。と、クラスメートから陰口を言われる声が漏れる。こんなんでも一応容姿は整っているほうだから、こういった点でどんどん勝手に減点されていくのだだ。嫉妬だろう。というか、本能にケチをつける方がおかしいだろう。


 丸い集合体、もしかして頭部だろうか。仮に頭部だとする。人魂(仮)は軽く頭部を下げた。お辞儀のつもりだろうか。中に人でも入っているのかわからないが、もし人魂が人だった腰はきっちり四十五度下がっていると確信させる綺麗なお辞儀だった。いや、綺麗と言ってしまったが、お辞儀をしたのは白いもやもやだから、正しいとも言い切れない。ただ、そんな集合体からそんなことを感じてしまったということはそれがそういった雰囲気を曖昧にでも感じさせる動作だったのだろう。


 人魂(仮)は自分のお辞儀に気付いた彼女を見て満足そうにすると、彼女を先導して動き出した。


「えっ、(こわ)


 思わず彼女が声を上げてしまうのは仕方がない。なぜなら、そこには朝食が用意されていたからだ。


「こんな食べれないんだけど」


 贅沢な文句だ。両親が作った、と疑うだろうが、彼女は知っている。両親はまだ寝ていると。


「あなた達、これどうやって作ったの? 実体ないんじゃないの?」


 その言葉に、白かった人魂(仮)は顔(?)を青くした。青魂(あおだま)って字的にも見た目的にもスーパーボールみたいだが、そんなことはどうだっていいだろう。


「いただきます」


 彼女は、真面目である。学校でも名の通った優等生であり、淑女という認識をされている。じかし、実際は家事全般ができない生活力ゼロのめんどくさがり屋だ。ただ、そんな少し腐った彼女は、内面は純白である。正確にいうと、馬鹿である。疑うことをせず、危険な目に合うこともある。


 その証拠に、真っ黒なパンを何の躊躇いもなく食べていることが挙げられる。


 彼女のわずかな動作に一喜一憂する人魂(青ver)。のんきな顔をして食事を進める、彼女は気付かない。


 背後から迫りくる落ち武者に。

※落ち武者さんはいい人であり、寝癖を直しに来ただけです。悪意は全くありません。

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