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第五話

「プチサンダー!」


あたしがそう唱えると、空に暗雲がたちこめ上空で渦を巻いていく。そして、凄まじい轟音とを伴い激しい閃光が巨大な柱となって地上に降り注いでいく。


確か、サンメリア号でサリーを助けた後、ブルーサンダーを船ごと海の藻屑にして、さゆたんとサリーと一緒にヘリで⋯⋯。

そこまでは覚えている。

気がついたら多くの魔獣や魔族に囲まれていた。もちろんあたしも魔獣や魔族に面識はない。でも、コイツらは魔獣や魔族で間違いない。あたしの本能がそう叫んでいる。

あたしは魔獣や魔族をぶっとばそうとしたが何故か直接攻撃はできない。もちろん相手の攻撃もあたしには当たらない。当たらないなら無視すればいいのだが⋯⋯。攻撃されると攻撃したくなるという、そうあたしの本能が黙っていない。試しに魔法を使ってみたら魔法攻撃は効くようだった。ただ、なんだろう。とにかく魔法がすごいのだ。ここの大気や草木に至るまで魔力が宿っているからだろう。ひょっとしてここは魔界? いや、多分夢の中だ。そう、あたしはヘリの中でさゆたんの隣で寝ているだけだ。そうに決まってる。


でも、なんだろう。

あたし、この世界のこと知っている。

てか、どこに行くべきかも⋯⋯。


魔獣や魔族を叩き潰して歩いていくと小高い丘が目の前に現れた。そこには見覚えのある小さな小屋。小屋の前まで歩いていくとドアがギイと開いて顔色の悪い老婆が現れた。顔色が悪いというより青い肌なのだろう。


「おや、ラーニャ。随分早かったね。さて、中にお入り」


「ババア! あたしはそんな名前じゃない。冬月奈々だ」


「はあ? あんた記憶をなくしたね。まあ、その話は後にしよう。さっさと元の身体に戻らないと大変なことになるよ」


確かにそんな気がする⋯⋯。


小屋の中に入ると目の前のベッドに青いあたしが寝ていた。


「さあ、さっさと戻りな!」


老婆に促させるように、あたしは身体に近づいた。


天井?


気がつくと、あたしはベッドの上に寝ていた。


「だっりぃ!」


「第一声がそれか⋯⋯。あんた、性格も変わったんじゃないか?」


老婆は怪訝そうな顔をする。


「あたしはあたしだよ。ラーニャじゃねえって言ったろ!」


「そういえばカザミヤカオルは元気か?」


「カザミヤ? 誰だ。ソイツ?」


「おいおい、カザミヤカオルがいないのに、お前どうやって戻ってきた? まあいい。ワシの名はコーリャだ。カザミヤカオルには『召喚の指輪』を託しているんだが⋯⋯。向こうの世界で『召喚の指輪』を行使してもらわないとお前向こうの世界には戻れないぞ」


「別にいいんじゃねえか。こっちの世界で少しゆっくりしていくよ」


あたしがそう言うとコーリャは呆れ顔で言う。


「こっちの世界と向こうの世界では時間の進み方が違う。こっちの世界での1日は向こうの世界の100年くらいと聞いている。すぐにでも戻らないと大変なことになるぞ!」


「ハハハ、だったら戻らないっていう手もあるぞ。ババア!」


あたしは言って立ち上がった。


「身体に戻ったってことはアイツらぶっとばせるんだよな。ちょっくらぶっとばしてくる」


「アイツら?」


コーリャの言葉に答えようとした瞬間、あたしの意識は消えていった。


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