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Partners 〜戌亥隼人の奇怪譚〜  作者: 土ノ子ウナム
第一章 窮鼠猫を噛む
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第3節 禍つ風

◆ 第3節 まがつ風

1-1


午前4時20分。

まだ夜が明けきらない灰色の空。


特異対策局・大会議室は、怒号と足音とキーボード音で満たされていた。


【北稲荷山に呪詛師集団出現】

【封魔班 前線壊滅】

【祈り子3名 重症】


状況モニターに次々と赤いアラートが表示される。


兎は震える手で端末を操作しながら、現場状況を読み上げる。

兎「北稲荷山での呪詛師集結、二次呪災害もいくつか進行中……!

確認されている呪詛師は3名ほどですが、もっと集まると予想されています。大規模呪詛師集団かと!


目的は“山頂の社”に祀られている“幻視の仮面”と思われます!」


段象の眉間が深く歪む。


段象「最悪だ。放置すりゃ山を中心に街全体まで被害が出るぞ…」


戌亥(呪詛師…集団!)

戌亥は拳を握りしめる。

右手の黒紋が、熱を帯びてうずいた。


ドクン……ドクン……


(……右手の鼓動にも、だいぶ慣れてきたな……)


そこに、扉が乱暴に開かれる。


根津が入室しただけで空気が一瞬で静まる。


根津「全班に通達。――本件は上層部案件である。」


局内のざわめきが、別の種類の緊張へ変わった。


上層部案件。それはつまり今まで受けてきたような外部依頼ではなく、特異対策局の本部からの指令……


過去の上層部案件の傾向として

・複数班合同での作戦

・目標達成まで撤退、作戦中止、作戦失敗は許されない

・殉職率が跳ね上がる


根津「今回の案件に丙班はすぐに向かえ。乙班はまだ寅が負傷中のため私が指揮をとる。

封魔班については第一部隊は万が一の場合と本部守護のため待機。

現状第二部隊が先行している。」


段象が舌打ちした。


段象「丁班は別件でいねえ、乙班は揃ってないし……呪詛師の集団が相手となると、今の戦力じゃ火力が足りねぇかもな…。」


根津「火力はこれから増える」


パネルが切り替わった。


【調査課 甲班/丙班/封魔第二・第三部隊 合同任務】


兎は勢いよく振り返る。


兎「甲班も来るんですか!? じゃ、じゃあ……!」


色めき立った会議室の扉が、ちょうどそのタイミングで開く。


馴染「私たちも、行くよウサちゃん♡」


白いスーツに赤い唇。

妖艶で人を誤魔化すような笑み――甲班のオペレーター、傀儡くぐつ 馴染なじみ


その後ろから、筋骨隆々の巨体が現れる。


心象「ガハハハ!!呪詛師の集団やとはのォ!!

燃えるのぉ!!」


甲班班長・甲斐 心象。

段象の祖父で、“不死身の心象”と呼ばれる伝説級の調査員。

見た目は豪快な黒顎髭を蓄えて筋骨隆々。

どう見ても40代かそこらの大男。

とてもおじいちゃんには見えないギャップが強烈な違和感を放っている。


段象「あ〜……ジジイ……テンション合ってないって…恥ずかしいからやめてくれよ……」


心象「ガハハハ!!」


そして会議室の奥で座っていた――

白髪の小柄な少年?が静かに歩み出る。


白髪の少年「丙班の皆さん。

……ご一緒できて光栄です。

今回も、お役に立てるように尽力しますね(•‿•)」


丁寧な口ぶり。まだあどけなさの残る笑顔。

しかしその瞳には熱が無く、印刷して貼り付けたような顔だった。


戌亥の右手がビクリと反応した。


ドクンッ


白髪の少年は真っ直ぐと戌亥に向き直す

シン「巳影 シンです。よろしくお願いします(•‿•)」


馴染「戌亥くん、あなたの話は少し聞いてるわ。


呪いで困ったことがあれば、とりあえず私に相談してね。"何か"はできると思うわ。」


戌亥「……わかった。」


根津は会議室全体に指示を出した。


根津「とりあえず、北稲荷山近くに仮の司令室を設置する。

そこから馴染、兎は祈りを捧げる。


あと、段象。お前は本来サポート特化のタイプだ。

お前は俺の補佐をしてくれ。」


段象「…わかりました。


とりあえず丙班は急ぎ北稲荷山へ向かう!

本命は“呪詛師集団の殲滅”と“幻視の仮面の死守”。

先行している封魔第二部隊も限界が近い、急ぐぞ!!」


各隊員が一斉に走り出す。


戌亥も駆け出しながら、ふと空を見た。


まだ夜は明けない。

だが、山の方角にだけ――


薄く黒い霧が渦を巻いていた。


(……待ってろ。必ず止める)




ドクン


黒紋が鼓動した。

――――――――――――――――――――――

1-2 


北稲荷山へ向かう輸送車が、闇の中をひたすら駆けていた。

夏も近づく外の空気は朗らかに暖かいのに、山の方角からだけ薄冷たい風が吹き込んでくる。


エンジン音とともに、段象が戌亥に話す。

段象「前回の作戦同様、お前には甲班と共に前線へ立ってもらうことになる。


俺の超集中と完全記憶はそもそもサポート向き、そこに兎の祈りによるオペレーションを組み合わせてもう一人が特攻する。


…新入りのお前にばかり危険を冒させてしまうことになるが、、、元より丙班は俺が班長になってからはこのスタイルが基本なんだ。」


今回の段象は、いつものぶっきらぼうな言い方ではなく罪悪感と申し訳なさを滲ませている。


更に今回は救援ではなく、殲滅作戦。

作戦遂行に向けて、最も成功率の高い案を出すのは当然。

生きて帰れる保証はどこにもない。


段象「もう一つ、、念のため忠告しておくが、戦闘中はあまり巳影の近くには行くな。

奴とジジイは、、ハッキリ言って最強といってもいい。

最前線は甲班にまかせていい。

"不死の甲班、不死身の心象"と言われているからな。」


戌亥(不死の…甲班…。)


やがて兎が震える指先で通信端末を耳に当てた。


──ザーッ……ノイズの奥でかすかな声。


『……封魔第二……後退……不可……。祈り……途絶えま……くっ……!』


突然、爆音と絶叫。

通信が切れた。


兎の顔から血の気が引く。


兎「……完全に封魔第二部隊の陣が破られました……!」


段象は手袋をきつく握り込む。


段象「封魔第二部隊が落ちたってことは……あと社までは北稲荷山に古くから棲み着く狐たちの防衛線だけだ」


戌亥(ギン子……!)


胸の奥で黒紋が燃えた。

怒りか、焦りか、それとも別の感情かは自分でも分からない。


甲班からの通信

馴染の声で、微かな笑い声。


馴染『焦らないの。狐たちはしぶといわ。何百年も昔から北稲荷山を護り続けてきた連中なんだから』


馴染『戌亥くん、悪いけど手加減は出来ないわ。どんな呪いなのかまだハッキリと分かっていないらしいけど、、、いざとなればアナタも"使い捨てなきゃいけない"。

そんなことになっちゃやーよ。』


軽い声だが、冗談ではない響きだった。


段象「……不安を煽るな。戌亥はまだ新入りだぞ。」


心象が後部席で豪快に笑う。


心象『ガハハハ!!

若い者は苦労を買ってでもすりゃええ!!

とにかく怒りも迷いも全部抱えて戦えばよい!!

もし死んで呪霊になっても、儂が泣いて供養したる!!』


段象「いらねぇんだよそのフォロー!!」


巳影シンは無表情で窓の外を見つめたままだった。


シン『……匂いますね。

死の残滓と、呪詛と、血と……呪いの匂い』


そう言って微笑んだ。笑っているが、目は相変わらず笑っていない。


車両が急カーブを曲がった瞬間――


視界いっぱいに赤黒い光が広がった。


山の中腹。

樹木が揺らめくような歪んだ光に包まれ、空が泣き叫ぶように震えている。


段象「見えるか? あれは“祈祷結界”。

狐たちの祈りが、ぎりぎり形を保ってるだけだ」


馴染『……彼らが守っているのは“幻視の仮面”。

呪具であり、神具でもあるわ。』


段象「あぁ。特異対策局も何度か調査をさせてもらおうとしたことがあるが…。キツネ達は断固として許可しなかった。」


兎「キツネ達曰く、神具に呪いが影響を及ぼすと、、、国すらも混乱に陥れる呪具と成るとか…

特異対策局にも、呪いの影響を持つ者は多数いるからね。」


戌亥「神具…」

自分が北稲荷山に行ったとき、

ギン子の兄と父がひどく警戒していたのは、神具があるからだと戌亥は納得した。


馴染『まぁ少なくとも……神具が万が一呪具にでも成ろうものなら、、間違いなく世界がもう一段階地獄になるでしょうね』


心象が身体を前に倒し、獣のように吠えた。


心象『――全員、もうすぐ到着する。降りる準備をせい!!!』


輸送車が横滑りしながら停車。

扉が開くと、冷たい風が吹き込んだ。


森の入り口には、巨大な狐面の影が立ちふさがるように揺れている。

鳴き声でも悲鳴でもない、聞いたことのない音が響く。


ギィィィィ……オォォォン……


段象が白手袋を締め直す。


段象「――行くぞ。一旦ここに簡易結界を貼って、簡易指令室とする。

戌亥は甲班と社に向かいつつ索敵だ。

最低目標は、仮面を絶対に奪わせないこと。可能なら、呪詛師を一人でも多く殲滅し、更に欲を言えば拘束できると尚良し。だ。」


もう一台の車から甲班が降りてくる。

一番に降りてきた馴染は、兎に寄り添い、肩に手を置く。


馴染「祈りの陣はあなたが要。

泣いても震えてもいいけど、祈りを絶やしちゃダメ。

あなたが折れたら、みんなが死ぬから」


兎「……うん。わかってる」


戌亥は森の奥を見つめる。

黒い霧の渦の中心――そこから、確かに“呼ぶ声”がする。


ギォオオン、、ォォォン


右手が疼くのをふりほどくように、爪が食い込むほど拳を握った。


戌亥(――絶対に呑まれない。俺は俺だ)


段象「行くぞ!!」


丙班と甲班、封魔班が一斉に山へ突入する。


そのとき、山の中腹では

不気味な笑い声がこだました。


??「ウフフ……来たのね“特異対策局”。待ってたわ…。」


---


1-3 


甲班と戌亥が山に踏み入れて数分。

聴覚強化し、更に超集中した段象は、周囲の戦闘音や封魔第二部隊の微かな唸り声を聞く。


戌亥と甲班の2人は、簡易指令室にいる段象からの通信を頼りに、社へと急ぐ。


瞬間ー

心象が大きな声をあげる


心象「前方注視しろ!呪いが迫ってくるぞ!」


刹那


バキィィィッ!!!


地面が石になった。

正確には、踏みしめた落ち葉も、草も、土も、硬質に変化した。


心象「ぬぉ――ッ!?」


段象『下がれ――!』


段象の声と同時、戌亥の身体を何かが掴んで押し倒した。

轟音。

さっきまで戌亥の首があった位置を、石柱が貫く。


石柱の奥から歩いてくる、白いコートを着た男。

「……よく気づいたね?

潰されて即死。触れたら石。心から食べたいお寿司♪

…簡単な呪いだね?」


ふざけた話し方とは裏腹に、全身から殺気が溢れている。


見てみると、顔は白い布がグルグル巻きになって覆われている。

布の両目があるであろう部分には歪な線で◯が書かれ、右の◯と左の◯、それぞれ光っている。


シン「呪詛師ですね。

恐らく石化の呪いですね…。

落ちてきた石柱、、、鴉の形をしている。

恐らく空を飛んでいた鴉を石化させて落としたのでしょう。


…心象さん、いつものコンバートでいきますか?」


心象「ウムッ!ときに段象!!過去の呪詛師ファイルに近似者はおるかッッ!?」


段象『あぁ。記憶している。

数年前に丁班が対応した呪いに似たものがある。


呪詛師の目を見れば少しずつ石になってしまう呪いだった…

当時の丁班は相手の目を見ずに両目を抉り出して処理したみたいだが。』


シン「んー、でも彼は顔が布で覆われていて目は見えないですね。

それなのに石化が使えています。

…不思議ですね!」


心象「まぁ良い、段象は引き続き分かったことがあれば教えてくれ!!

馴染ィ!スタンバイじゃぁぁぁ!」


馴染『ええ。とっくに。』

馴染が両の手をあわせる。


祈りの術式がシンと心象の全身を走る。


心象がジロリと戌亥を横目で見る。

心象「戌亥。お前さんは自由に動け。儂らの動きについてこいとは言わん。

とにかく話は聞いたが、触れると呪いを消せるようじゃからな。

考えて、、、行動しろ。」


普段の豪快な話し方とは違う。

恐ろしいほどに低く冷静な口調に味方ながら背中に汗が滴る。


戌亥「あ…あぁ。」


少しの間睨み合っていた白布面の男と、戌亥たちだったが

まず心象が駆け出す。


心象「とりあえず……ジジイのォォ!⋯⋯ォ⋯」


白布面「ちょ、ちょ待って!止まって!固まって♪」

心象が巨躯に見合わない疾さで駆ける。

白布面の男に一直線の掌底を繰り出すが、そのとき白布面の◯が光りだす。


心象は面を見ないように意識していたーーーーが。

突然体の動きが遅くなり、ついに白布面の男の目の前で体が完全に止まる。


段象『な、なんだ?目を見ていないはずなのに、ジジイが固まった?』


シン「石化はしていないようですけど…。」


白布面「止めたぜ伝説の調査員!欲しいならくれてやるサイン!鳴らせサイレンンンン!」


「よくやったぞ!」

するともう一人、樹の上から声が響き降りてくる。

ズサッ!「あ、痛ッッ!」


こけてすぐに立ち上がり、お尻を払うもう一人の白い布面をした男。

その男の目の部分には、✕が書かれていた。


シン「最初から、2人いたわけですか。」


✕目の布男「そうだ!俺たちの役割はコンビでお前達最強の甲班を足止めすること!

既に最も危険とされていた心象を完全停止させている。

あとはお前だけだ巳影 シン!」


そう言って✕目の男は戌亥を指さす。


戌亥「……。」 


シン「……。シンは僕ですよ。」


戌亥(あっ、、教えるんだ。)


✕目「な、、し、、し知っとるし!わざとだよ!?

お前を止めるぞシン!!」


改めてシンに指を刺す✕目の男


◯目「オイ!あんまりふざけてんじゃねえぞ!さっさとそのガキ止めろ!締めろ!俺メロメロ!」

✕目「ンー…そのリリックはあんまり響かないなぁ…」


緩やかに話しながら、男の✕目が光る。

シン「おっと…。」

シンのいた地面が石化するが、軽やかに跳んで避ける。


殺気が溢れているのに、どこか間の抜けた空気。

しかし隙を見せられない。

戌亥(なんだかやりづらいなこの人たち…)


シン「石化は僕と相性が悪いですね…。ここで僕が倒れるわけにはいかないですし。

戌亥さん、イってください☺」


戌亥「い、いくって…」


シンはニコリとしているが、全く目は笑っていない。


段象「……(聞こえる)」


森の奥で塵が崩れる音。

足裏の関節運動。

瞳孔の方向。

呼吸のリズム。


段象「戌亥、“上 4m 落ちてくる!”」


戌亥「あ、あぁ!」

ガンッという音と共に、また鴉の石像が落ちてくる。


✕目「あちゃ〜、外しちゃったかぁ」


シン「相手は石化の呪いと、多分もう一人は鈍化の呪いだと思います。

近づけば近づくほど遅くなるものだと思います。

戌亥さんは呪いが効かないんですから、実質ノーダメージじゃないですか。」


戌亥「⋯。」


シンの早くいけと言わんばかりの後押し。


✕目の視界がこちらと合う、その刹那ーー

戌亥は地面へ滑り込み、視線を外して回避。


✕目「おお!?

君、戦闘の経験は全く無いと聞いていたんだけど!なかなかやるじゃーん!」


戌亥(知ったふうな口を⋯!)


✕目「じゃあもう良いか。

君にね。本当の"呪詛"ってやつ、教えてやるよ⋯。」


✕目「石藏反纏⋯」


段象『耳塞げ!!!』


瞬間。


段象『右へ飛べ!!』


戌亥が咄嗟に身を翻し右方向へ飛び込む。

✕目の男から戌亥の場所まで、地面、樹、木の葉一枚一枚に至るまで石になる。


段象『恐ろしいのは石化の範囲ではなく、石化の"早さ"だ。

シン、戌亥は呪いの耐性が高いとされているだけで、効かないかどうかは分からない。

呪いの戦闘は基本的に一撃くらえば決着する。

"お前らの感覚で計るな"』


シン「⋯⋯まぁ、今回の作戦

僕らの指令は段象くんですから。

僕はとりあえず従いますよ☺」


段象『兎、感覚共有だ。✕目の男と俺の視覚を共有する』


兎『呪詛師の視界を見るの?どんな影響が出るか⋯』


段象『どちらにせよやるしかない。それと馴染さん。"反転"はできないか?』


馴染『無理ね。

今、仮に心象さんの呪いをシンに反転させても、心象さんがあそこにいる限りすぐにまた鈍化の呪いを重ねがけされるだけよ。

それに戌亥くんの呪いはまだ性質が分からないしね』


段象『そうか⋯。仕方ない。やれ兎!』


兎『う、うん!』


兎の祈りの“感覚共有”が走り、

段象の“超集中”が、✕目の男の視界を完全トレース。


段象『⋯大丈夫そうだ。✕目の視界は問題なく見える。俺が指示を出すから、戌亥は◯目の男をぶん殴るなりしてジジイから離してほしい。

念のため◯目の男とは目を合わせないように』


戌亥「あぁ!」


段象『いくぞ!足元石化!いま鴉を石化したから、数秒後にシンのところへ落石!

右側によけて、前進しろ!』


細かい指示の数だが、ひとつひとつこなしながら戌亥は跳ぶ。

石刃が足元を貫き、木々が一瞬で灰色の石像へ変わって崩れ落ちる中、戌亥へ◯目の男へと近づく。


◯目「オイオイ来てるぞコイツ!右止めろ右!タイツハイツゥウ」


✕目「え、何か言ってる?もっと大きい声で話して〜!

なんも聞こえないよ〜!」


段象『聴覚か⋯!幸運だな。✕目は俺との感覚共有で聴覚を失っている。』


◯目「オイオイ俺は鈍化中は動けないの知ってるだろ!止めろ!抑えろえろえろえろ」


✕目「口パクパクさせて金魚の真似?うまい〜」


◯目の男までもう少し。

シンに気を取られていた✕目の男も、さすがに気づく。


✕目「あらっ、気づいたらだいぶそっち行ってるじゃない。

ちょっとちゃんと指示出してよ〜」


◯目「出してるわぁぁぁ!」


戌亥「韻を踏むの、忘れてるぞ」


戌亥は予想通り◯目の男に近づいても鈍化しなかった。

その勢いのまま◯目の男を殴りつけ、吹っ飛ばす。


◯目「ゴハァァッッ!」


◯目の男が吹き飛ばされ、距離が離れるにつれて、またゆっくりと心象が動き出す。


心象「ォ⋯ォォ⋯ォ゙ ぉおおお⋯掌底!!!」

ブンッ


心象「ム。消えた?」


シン「消えたじゃないです。心象さん、◯目の男は鈍化の呪い使いでした。

あと石化の呪いはコイツです」


✕目「あちゃ〜、、せっかく上手く行ってたのに⋯」


✕目は◯目の方を見る。

◯目「俺じゃねえよ!お前のせいだよ!」


✕目「やれやれ、何も言えないからって口をパクパクさせちゃって…」


◯目「お前まじ耳鼻科いけ!たぶん敵側の異能だよ!」


✕目「まぁいいや…。正直、ここまで時間稼げたら十分でしょ。逃げるよん!」


段象『まずい!こいつら撤退する気だ!逃すな!』


シン「ふーむ、時間稼ぎが目的でしたか…。」


心象「なんじゃあ!!逃げるのか!!」


戌亥「ま、待てええええ!」

絶叫と共に、戌亥の手から白炎が飛び出した。


✕目「あっ⋯マズイ⋯」


そして白炎は、◯目の男を貫き

男を巨大な円状に焼き溶かした

胴体からは空が覗く


シン「おぉ、それが噂の。激しい感情の起伏で発動するタイプか。」


心象「よくやったぞ!鈍化がいなければワシの出番じゃ!!」


心象の瞳孔が狭まり、前進の筋肉が締まり唸りをあげる。


✕目「そ、そもそも呪詛師との戦いで肉弾戦ってどうなのよ!?」


心象は猪突猛進に駆ける。

✕目の男のところまで、多少の石や岩はものともせず

それどころか、落石で腕が折れようと、体が石の礫で切れようと

心象の体は"即座に再生している"


心象は✕目の男に掴みかかり、

全力のーー背負投げをした。


✕目「ガハッッ!!!」


シン「う、うわぁ!凄いや心象さん!!かっこいい〜✨️」


心象「馴染、ナイス祈りじゃあ!!」


馴染『戌亥くんが鈍化を処理したおかげよ。』


シン「うわぁぁん!よかったよおおお!!!」


戌亥(シン⋯なんかキャラ変わってないか?)


段象『とにかく、呪詛師1名処理、そして1名確保。だな』


ーーー



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