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作品  作者: トート
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プロット


プロット 「姫さまと手鞠歌」

(剣と魔法のローファンタジー。政治劇)



【過去編1】(40年以上前〜14年前)


40年以上前:エリオスの生い立ち


エリオス・リオレッド・フォン・ヴァハルナハトは、ヴァハルナハト子爵家の庶子として生まれた。リオレッド・ミュルクス・フォン・ヴァハルナハト子爵と、当代一の美女と謳われた娼婦シオリスフィアとの子供だった。ミリスフィアは、お金が目的でエリオスを産んだ。リオレッドは、ミリスフィアの美貌だけが目的だった。

五歳頃、エリオスはヴァハルナハト子爵家に引き取られたものの、そこは地獄だった。継母アヴェリナ、長兄クラウス、次兄エルンスト、姉イソリアがいた。アヴェリナは、夫の不義の証しであるエリオスを、卑しい娼婦の子と蔑み、度々折檻した。母親の美貌を受け継いだエリオスは、性的に見られることが度々あった。その筆頭は、兄であるはずのクラウス、エルンストだった。エリオスは、毎日のように兄たちの寝台に呼ばれていた。イソリアは嗜虐的な性格をしており、エリオスを鞭打つのを楽しんでいた。エリオスは、優れた魔法の才能があるものの、20ほどもある兄姉達との年齢差は覆しようがなかった。

だが、そんな地獄の毎日は唐突に終わる。長兄クラウスが、前国王(当時は王子)のアレクシウスの暗殺に失敗したからだ。その頃のアレクシウスは、味方となる貴族などおらず、宮中で孤立していた。だから、自分を殺そうとしたクラウスやその親族の粛清に、自らやってきたのだ。

俺の手足になれ、とアレクシウスはエリオスに言った。エリオスは、終わらないと思っていた地獄から救ってくれたアレクシウスを生涯の主とすることを誓った。


30年以上前:理想と情愛の始まり

若き日の前国王(当時は王子)アレクシウス・ウルリッヒ・フォン・ヴィリオスは、この国を良くしたいという理想を抱いていた。

アレクシウスの忠実な部下であり、恋人でもあるエリオスもまた、民のために尽くしたいと思っていた。



権力の罠に陥る二人

だがいつしか「国を良くする」ことよりも、「権力を手に入れること」自体が目的化していく。そして、アレクシウスの乳兄弟である、ガルヴァン・ベリオ・フォン・クローデリクの死により、二人は決定的に道を間違えた。

アレクシウスと敵対する王女が民衆を扇動し、守るべき民によってガルヴァンは命を奪われた。

理想は腐敗し、権力闘争に埋もれていく。アレクシウスが王座につくころには、すっかり彼らは権力にとらわれていた。


14年前:王家の内紛と陰謀の種

王位を巡る兄姉の争いが激化し、王妃や側妃が互いに憎しみ合う混乱の中、アレクシウスは王家の血筋を絶やさぬために秘密裏に男爵令嬢ラトリシア・メリオーネ・フォン・ティオムーナとの間に隠し子アルセリアをもうける。ラトリシアは、アレクシウスに関係を無理強いさせられた。




【過去編2】

(12年前~)


主人公アルセリアの誕生と母の死

12年前、アルセリア誕生。母ラトリシアは産後の肥立ちが悪く亡くなる。

アルセリアは祖父母や伯父、従兄姉達に愛され、快活で明るい少女に育つ。

彼女は、ティオムーナ男爵令嬢として育った。


アレクシウスの真の狙いとエリオスへの命令

アルセリアの兄王子姉王女を殺害するようアレクシウスは謀る。

後ろ盾のないアルセリアを女王に据えることで、宰相エリオスを実質的な支配者にしようと企む。

アレクシウスはエリオスに、成人したアルセリアと子をもうけるよう命じる。アレクシウスにとっては、実の子供達よりも、エリオスのほうが大事だった。

エリオスは既婚者であるため、アルセリアの王配には成れない。だが、女王や、貴族の女性当主は複数人と結婚できるし、愛人を囲うこともできる。エリオスがアルセリアに子供を産ませることは、法律上にもなにも問題はない。



本編開始 少女王の即位(12歳〜)


アルセリアの即位と傀儡化

兄姉が死に、前国王アレクシウスも崩御したことにより、12歳のアルセリアが王位に就く。この時、彼女はまだ明るく快活で、祖父母や叔父、従兄弟を大切に思う、優しい少女だった。

愛する者たちが暮らすこの国を守るため、自らの意思で玉座に上がった彼女は、国民の前でも笑顔を見せる希望の象徴であった。

しかしその光こそが、エリオスにとっては忌まわしかった。


アルセリアの持つ明るさ、純粋さ、そして家族への愛。それらは、かつてのアレクシウスの若き日を思い起こさせた。

まだ何者でもなく、ただ理想を語り、国を変えようと手を取り合っていた頃の、輝かしい日々。

だがその理想は権力の中で腐敗し、エリオスもアレクシウスも変わってしまった。

今のエリオスにとって、アルセリアの存在は、かつての自分たちが失ったものの象徴であり、過ちを突きつける鏡だった。

エリオスは決めた。

アルセリアの心を壊すことを。

彼女を冷たく静かな玉座の人形へと変えることを。


エリオスはアルセリアの明るい性格が傀儡に向かないと判断し、大司教ヴァルム(脂ぎった中年男性)をそそのかし、あえて彼女の寝室の警備を薄くさせ、オルフェリアをそそのかして手足を痺れさせるお香を焚き、ヴァルムに彼女の「初めて」を奪わせる。

さらに、王家に不満を持つ者達を焚きつけ、アルセリアの愛する祖父母を殺害させ、伯父とその妻と従兄姉を凌辱の上で殺害させる。

この二つの事件が、彼女の心を完全に折る策謀だった。

宰相エリオスが実権を掌握し、アルセリアは精神を閉ざしてただ王座に座るだけの傀儡に。伯父たちは自分のせいで死んだのだからと、誰かを愛する事も辞める。生きる意思はなく、死ぬ勇気もない孤独な存在。

彼女は「ただいつか死ぬ時だけを夢見て」生きているだけ。

その心は完全にエリオスに支配され、精神は破壊されている。


王家の陰謀と権力の三極化

アレクシウスの計画はアルセリアを利用してエリオスを頂点に据えること。

エリオスは祖父母殺害やヴァルムとの連携でアルセリアを精神的に破壊し、完全な傀儡にする。

その計画は、アルセリアの心を犠牲にして完成した。


三極体制の


宰相エリオス:実質的な最高権力者。

大司教ヴァルム:宗教権威の長。長年の不摂生がたたって心臓を患う。最後は腹上死。

女王アルセリア:名目上の支配者で精神的には傀儡。


王家の未来と絶望の継続

結婚とエリオスとの子供達

アルセリアはエリオスの子を複数産み、エリオスの子を王座につけるための道具として生きた。第一王女リュシアナ、第二王女エルフィリア、第一王子ヴィクトール、第三王女アマーリエ、第二王子カスティリオン。

王配には、エリオスが弱みを握った人物が立った。王配とは、白い婚姻だった。

ヴィクトールは、エリオスが愛したアレクシウスにそっくりだったため、エリオスに可愛がられたが、それはアレクシウスへの歪な執着であり、愛とは言えなかった。大きくなるにつれ、エリオスがヴィクトールに向ける視線は性的な物が混じった。


孤独な王座の継続

アルセリアはただ死を夢見て玉座に座る存在。

かつての明るい少女は影も形もなく、深い絶望の中で日々を過ごす。

アルセリアにとって自分の子供ですら恐怖の対象だった。愛してしまうと、相手が死ぬから。


エリオスとアルセリアの死

エリオスとアルセリアの第一子、リュシアナ王太女は、両親を殺すことにした。これ以上、国をエリオスの好きなようにさせることは出来ない。

こうしてエリオスは、その命をもって

今までの罪の対価を払うことになる。

アルセリアはエリオスに顔がそっくりなリュシアナを愛せなかったが、死ぬ直前、「殺してくれてありがとう」と柔らかな笑顔をリュシアナに向けた。

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