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治癒師の憂鬱  作者: 甘木
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16.王家の招待

セーラと使用人たちには、俺が本当に生まれ変わったことを伝え、家中の秘事で他言無用を徹底した。王家の思惑を説明して納得してもらったが、セーラが

「お父様が生まれ変わったのは全くの偶然だったのですね。

私は王の治療が済んだかと思うと、お父様は消えていき、光となったと。その光がお母さまに入っていったと聞いています。

でも、事実はお父様は死んで荼毘に付せられたと。消えたのではなく、消されたんですね。

王家は…」


プリプリ怒りながら言うセーラを止め、

「結果は王家の言う通りになったんだ。問題は誰も信じていないことだ。」

セーラは、

「ならばやっぱり王家の言う通りだったと言えばいいじゃないですか。」

「そんなことは言っても誰も信じない。リブロード家は頭がおかしいと思われればまだましだけれど、何か企んでいると思われれば厄介なだけだ。それに俺は病気治療はもうしない。家族以外はするつもりはない。次死んだらまた生まれ変われる保証もないからね。」


セーラは渋々ながら他言無用を納得したので計画実施を再開する。

そんな日々を過ごしているうち、セーラが学園に向かう日がやってきた。

予定通り、セーラに付くメイドはローズだ。

メアリーの実家の馬車が屋敷の前に到着した。


「メアリー様、男爵家でも馬車を持ってはいかがでしょうか。」

到着早々嫌味を言うのはメアリーの兄のバードだ。メアリーが男爵位であることに妬みがある。リオに2か月鍛えられたメアリーは、嫌味を言われたことが分かっているはずだ。

(なんて返すのかな)

「フィリップが成人して男爵を継ぐころには用意しようと思っていますよ。」

微妙だな。と思っていたが、話はそれで終わった。


「ローズ、セーラを馬車までエスコートして。」

メアリーが言うと、バードはぎょっとしたが、エスコートされるセーラを見つめる。

「バード、淑女を見つめるのは無礼よ。男爵令嬢なのよ。」

(なるほど、ここで仕返しか。成長したな。)


セーラを見送り、屋敷に戻る途中、トーマスに

「今夜部屋に伺います。」

とつぶやかれた。


(あれ?屋敷の中では解禁だったよな)

疑問に思ったが、小さくうなずき、了解のサインを送った。


入浴、夕食を済ませ、部屋で待っていると、トーマスとメアリーがやってきた。


「もうこんな事しなくても良くない?」

疑問に思ったことを口にすると、トーマスがあきれ顔で

「フィリップ様をお忘れですか?」


そうだ、すっかり忘れていた。食事のときに見かけるだけで、会話もない。意地悪、嫌がらせもなくなり、意識から消えていた。肉体の変化のせいか、息子という意識もない。

(不味いな、身体に気持ちが引っ張られているかもしれない。わざと幼児っぽくするのも控えた方がいいのかな。)


「フィリップ様に気を掛けて下さい。リオのマナー教育や、私からの基礎教育があるので、一緒になる時間は然程ないとは思いますが、まだ2年弱の期間は注意をお願いします。」


「わかった。気を付ける。で、何かあった?」

「王家から招待状が届きました。パーティです。」

「えっ、こんな時期に?王家の晩餐会はもう済んだんじゃないかな。普通は2か月前、セーラが帰ってきた頃にやってると思うんだけど。」

「はい、そうです。当家は3年喪に服すことを王家に了承を得ていました。2か月前の晩餐会は、招待状配布時期がぎりぎり3年の服喪期間なので来なかったと思います。

ですが、奥様がお茶会に出席したことが王家の知るところとなり、王の命を救った英雄の家が社交界に復帰した記念に開くそうです。」


「無茶苦茶な理由だな。復帰って言っても、名誉騎士爵の時は王家のパーティーなんか呼ばれなかったぞ。ちまちまと名誉騎士爵同士か、商家とやってた位なのに。」

新たな登場人物(年齢はジョージジュニアとの年齢差)・既出人物の追加情報


バード・マーチャン(メアリーの兄)31年

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