15.計画実行
トーマスの宿題は悪い方で満点だった。公爵家にも、伯爵家にも娘はいなかった。我が家に自分たちの血縁の娘がいることがばれたら、どんな因縁を付けられるか予想できない。今のメアリーでは赤子の手をひねるようなものだ。
そのため、メイドとして雇入れしているが、仕事の休みには令嬢としても扱っていますよ と言う体裁を整えるため、二人をメイドの日と令嬢の日と1日交代で扱うことにした。
1人メイド不足分はポーリーが補う。二人への講師はセーラだ。
リオはセーラがフィリップを教える時間の間に成果確認をする役割にした、
メアリーの淑女力向上計画はセーラが学園に戻るまでは中断だ。中断と言っても、時間を取っての授業をやめただけで、リオとの日常会話は進めている。
リオは嵌め手のような言い回しでメアリーを困惑させ、意味を説明する。楽しそうだ。
流石だ、悪徳貴族の元ご令嬢、実力は十分だ。
ケイトの語学学習は、メアリーが話しかける言葉をルウィード語にした。日常会話をカタコトで話せるようにはしたい。
しかし、時間が足りない。セーラが15になるまでは隠せるとして後5年である。本当にセーラが成人するまで、リブロード家は他家と交流しませんと言うのが成立するのか。茶会の誘いは、俺同伴条件があるので、今のところは来ていない。が、俺同伴条件がいつまで通用するかは疑問だ。取り敢えず1年と言ったところだろう。
ケイトは今年18,ローズが15なので、ケイトは後2年で仕上げないとまずい。貴族社会では21歳が普通の結婚ができるタイムリミットだ。これを過ぎると、高齢貴族の後妻か、妾が普通になる。稀に一目惚れされて…というのも無い訳でもない。しかし、一目で判断するな、しっかり裏を取れと教育されている貴族で一目惚れするようなやつはろくでもないか、素晴らしい才能の持ち主かだ。後者は砂漠に落とした宝石を見つけるようなものだろう。
(よし、期限を決めよう。ケイトは2年、ローズは3年。これを過ぎたら嫁に出そう。)
貴族子女並みの教養を持つ予定の娘だ。平民からすれば高嶺の花である。
とは言え、急に探しても適当な人物が見つかるかはわからない。
(トーマスもメアリーも商家に伝手があるから、まずは2人に相談しよう。)