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治癒師の憂鬱  作者: 甘木
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13.セーラ襲来

セーラに仕事を与えておいて良かった。仕事がなければベッタリだった可能性が高い。

流石にそれでは隠し通すのは苦しい。

初めての子だったから、ジョージの時は空いた時間があればセーラと一緒にいたと思う。

今は理性としては出来るだけ避けたいが、感情では一緒にいたい。来ると困るが、来てくれると嬉しい。感情と理性が矛盾している。


最初の2日間は食事の時間以外で一緒にいることは無かったが、急に会いに来られた時に備え魔力強化はお休みである。誰も教えていないのにそんなことをしていれば、俺がジョージという思いが増すだけだ。


コンコン、と扉をノックする音がする。

「失礼致します、セーラです。」

声と同時にセーラが入室してきた。返事も待たずに入室するとは淑女らしからぬマナー違反である。が、当然指摘はできない。

トットット と俺に駆け寄り発した最初の言葉は

「お父様は、生まれ変わる前のことは覚えていらっしゃらないのですか?」

だった。恐らくメアリーあたりに言われたのだろう。

「生まれる前?」

「ええ、私が学園に行く前、魔力強化や魔術のことを教えてくださった頃の事です。」

(うん、忘れるものか。頑張りすぎを心配して何度も抱き上げることで止めたのは良い思い出だ。)

「わかんない。」

「でも、私のことは覚えているのですね。」

(どういうことだ、何故そう思う。)

一瞬考えて、

「えー」

と誤魔化す。

「わたくしが帰って挨拶をしたとき、とても嬉しそうに笑って下さったでしょ、あの顔はお父様でした。やっぱり生まれ変わられたのだと信じられました。」

そこで気付いた。

(しまった。俺はセーラを知らないはずだ。生まれてから初対面だった。)

(まずい、考えてなかった。誰も気が付かなかったのか?)


動揺を表に出さないように動揺していると、

「入りますよ」

の声と共にメアリーがローズを従えて入ってきた。完全なマナー違反である。準貴族でもだめだ。しかし今はそんなことはどうでも良い。

「セーラ、ここにいたのですか。今は私にマナーを教えてくれる時間ですよ。」


ローズがセーラの来襲をメアリーに伝えてくれたようだ。

(グッジョブ!)

ローズの給金も上げてやろう、そうしよう。


メアリーとセーラが部屋から出ていったが、言い訳と対策を考えなくてはならない。

まずは、

・初対面なのに笑いかけて歓迎を示したこと

だな。

今日セーラが俺のところに来たことはトーマスにも伝わるから、今夜は会議になるな。そこで相談しよう。

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