表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
治癒師の憂鬱  作者: 甘木
10/69

9.平穏な日々?

3歳の自分にできることは少ない。部屋には相変わらずローズがいるが、彼女は俺が動かない限り自分の仕事をしている。今は兄に壊されたぬいぐるみの修繕だ。兄もようやく落ち着いたようで、このところいたずらを仕掛けてこないため、壊されたぬいぐるみの修繕をしても無駄にならないと、トーマスから修繕開始の指示が出たようである。


俺のやっていることは、魔力強化と読書、ローズに連れられて館内の散歩である。1日3セットをただひたすら繰り返す日々だ。まあ幼児は遊ぶのが仕事だ。だが俺に幼児の遊びは何かわからない。なので姉が帰るまであと1か月はこの生活になる。


5日に1度のペースでメアリーとトーマスが夜中に部屋に訪れ、家のこと、外部のことを報告してくれる。俺がジョージのころは、俺が中心となって家事以外全般、トーマスが俺のサポート、メアリーは子育て、リオが子育てのサポートと家事全般という感じだったが、今はトーマスが家内すべてを仕切り、メアリーは渉外が担当だ。そのため、外部とのやり取りは激減している。外部の話はトーマスが足で稼いだものだけだ。実質王家に養われているような状態なので、他家も当家に興味はないだろう。


「で、特筆事項は何かある?」

俺が2人に尋ねると、メアリーが

「もう旦那様が亡くなって3年たつのだから、そろそろ茶会に参加してはという誘いが3件ほど来ています。」

「そうか、どれか行って来たら?今ならセーラが帰る前だから、ケイトを連れて」

「行ってみたいとは思うのですが…」

トーマスが一言、よろしいですかと言った後続ける。

「どうやらどれも男爵位狙いの話のようなのです。」


「えっ、フィリップが15歳になるまではメアリーが男爵ってのは王命だから狙っても無理なんじゃない?」

「はい、あと10年は奥様が男爵なのは間違いございません。ですが、その時に奥様に夫が居れば夫かフィリップ様かのどちらかになります。王城に実績がある方が夫となれば、そちらになる可能性が高いのです。爵位がなく、王城に勤めている人は、爵位を得れば給金も上がりますし、自分の息子に継がせたいというのもあるでしょう」


なるほど。爵位はある意味株みたいなもので、そうそう増えないし、潰された貴族の爵位も大抵寄親の貴族に渡されて次男三男に譲渡されるから、メアリーが持つ男爵株はねらい目なんだろう。そう考えてメアリーを見ると、メアリーが慌てて、

「私は旦那様がここにいるのに、再婚なんて致しません!」


メアリーはこの3年間、俺の墓参り以外に外に出ていない。ちょっと異常だと思う。

「メアリー、その言葉を信じるよ。でもいつかは再婚を考えて欲しいかな。そうでないと俺が独立、結婚しづらい。」


じとっとした目で睨まれたのに気づいたので慌てて、

「トーマス、一番安全そうな茶会をみんなで選ぼう。やばそうなのは多分俺がわかるから。」

今は平穏なんだよな。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ