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異世界捜査官  作者: さくるぁ
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狙撃の名手4

少し時間はさかのぼり、ホリーがラボを出て行った数分後、ダルが魔法省から魔術師登録者の一覧を持ってラボに帰ってきていた。


「チーフ、魔術師登録者の一覧を入手しました。光属性の登録者は全部で48名。光属性が珍しいとは言ってもかなりの数です。どうしますか?」

「犯人は頭部を正確に撃ちぬいている。プロの犯行だ。先ほど隣の警備隊駐屯所で出勤状況の確認をしてきた。光属性に適性のある隊員は全員勤務中だったことが分かった。つまりその一覧の中から、犯罪歴のあるもの、軍・警察関係者で除隊した者をピックアップしてみてくれ。」


ダルが登録者名簿の束から条件にあう人物を並べていく。


「そうなるとかなり人数が絞れます。国外旅行中や長期入院中の人を除けば19名だ。」

「ようし、ダルはこのまま19名の犯行時刻のアリバイを聞いてきてくれ。」

「わかりました。」


ダルが住所をメモしラボを出て行った後すぐにホリーがラボに戻ってきた。


「時計塔の上部フロアで植物の種のようなものを見つけたわ。入口で薬瓶に貼る製造日表示の紙も見つけたけど、こっちはティムが薬屋に聞き込みに行ってくれてる。」

「よし、わかった。植物の種とやらを見てみよう。」


ホリーがラボの大きなガラスのテーブルに封筒を出し、開封する。

小さな種のため、慎重にテーブルに広げていく。


「確かに種だ。種ならグロウの魔法で育つはず。グロウ!」


ケーンが魔法を唱えると種の一つが発芽し、少しずつ成長していく。

順調に茎をのばしたその植物は最後に小さな青い花を咲かせた。


「ホリー、この花を知っているか?」

「えぇ、知ってるわ。リバーサイドナルシス。水の近くに群生してこの小さな花を咲かせる。開花ピークは少し前で今だと花は枯れて種をつける時期ね。」

「そうだ。この種は軽いため、靴や服につきやすい。」

「海辺には咲かない花だから、おそらく湖の周辺ね。」


広げた地図を見ながらホリーが分析する。

湖の周辺は建物も少なく、人気のない場所だとわかる。


「犯人は湖で長距離狙撃の練習をしたんだろう。この町で開けた場所といえば湖か海辺が思いつくが、海は漁師たちの目がある。」

「まるでハンティングね。商店街で自分の腕を確かめたんだわ。」

「あぁ、だが次はこっちが狩る番だ。」


そこへティムも聞き込みを終え帰ってくる。


「現場に落ちていた紙はやっぱり魔力回復薬の製造日表示の紙だった。昨日の日付で買ったのは65人、町の住人に絞れば54人。」


ティムの聞き取りメモを受け取りながらケーンが続ける。


「ダルが魔法省から借りてきた登録者一覧と比較しよう。」


条件が増えれば合致する人物も少なくなる。

双方に当てはまる候補は5人にまで減った。


「この中の誰かが犯人だ。ダルが先にアリバイを聞きに行ってるが我々も行くとしよう。まずはダルと合流する。」

「「了解」」


ケーンは二人を連れてラボを出る。

空は日が傾き始めていた。

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