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キラリの考え事

 シャワーヘッドをフックに掛けたまま意味もなく顔面でお湯を受け続ける。口をボケた様に半開いて、口内に溜まったお湯が意味もなく口から溢れる。そうしてただただ意味もなくキラリは風呂場で立ち尽くしていた。

「キラリン何してんの?シャワー欲しいんだけど」

 んあ、と唸ってから口内に溜まっているお湯を吐き出し、シャワーを泡だらけのサナエにかけながら答える。

「シャンプー取ってー」

 それぞれ色が違うだけのボトルの中から、迷うことなく赤いポンプのついたボトルをミヤコは手に取ってシャワーと交換する。どちらも来客のはずなのだが、ここは別荘だと言わんばかりに二人はくつろいでいた。


 風呂椅子に座りながらシャカシャカと髪を泡立てるキラリはどうにも緩慢な様子だ。体を流し終えたミヤコは、そんな友人を横目に一番風呂をいただく。

「広いお風呂いいわ~」


「キラリン、悩み?」

「んー?べつにー」

「じゃあさっさと洗いなー?見ててダルい」

「んー」


「さっきの写真のさー、神社ってか鳥居のやつあったじゃん」

「女子だと思ったって言ったやつ?」

「それ。実は似たようなシチュエーションっていうか、まぁ嫌な思い出と繋がったからそう思ったのかなって」

「うん」

「もう終わったことだし個人的には整理もついてんだけど、ちょっとしたときにこうやって、勝手にふわ~って浮上してくるの、キモいなーって」

「うん」

「……つまりこの先もずっとそうやって出てくるかもしれないって事じゃん?キモいわー」

「わかりみ。サゲだわ」

「ところがどっこい、事情を知らない他人とか、それこそ廃墟もそうだけど、実はそういう過去があるけど誰も知らないって良いよなー。忘れ去られた無常さみたいな?つまり今の私ってエモいんじゃね?」

「うん??わかりみー、エモすぎ~」

「ふぅ、よし、洗い終わったし一緒に入ろう」

「いや溢れんじゃん。てかウチもう上がるからごゆっくりー」

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