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第七回オカルト同好会定例集会

 翌日、土曜日。第七回オカルト同好会定例集会。午後八時二十三分。サナエ宅、サナエの部屋にて。


 投稿者:万年しゃぶしゃぶ

 こう言った募集に初めて投稿させていただきます。

 送らせていただいた写真は五年ほど前に近所の神社で撮影したものです。趣味で写真を取る様になり、お寺や神社の写真もよく撮っていたのですが、いつもと雰囲気を買えようと夜の神社に足を踏む入れました。

 近所ですし、幽霊が出るなどの話も一切聞いたことが無かったのですがまさか写ってしまうとは。

 不思議と怖い感じはしないのですが、心霊写真である事には変わりないので投稿させていただきます。


 月明りすらか細い夜の鳥居。焚かれたフラッシュの光に、鳥居にもたれかかっているような人物の影が引っかかっている。暗く落ちた全身にところどころ差している白い肌。表情などは伺い知れないが、確かな存在感を持ってそこにただ立っている。まるで待ち人を待つかのように。


「これは配信にもらうよ。加工チェックも配信でやる」

「全身ガッツリじゃん。普通にそこに人がいるって言われても納得しちゃう。これ神明鳥居かな?古そー」

「十分怖いってかキモい」

「確かに気味の悪さの方が勝つね。鳥居に憑いてるのかな。それとも何かを待ってる?いや置いて行かれたのかな」

「置いて行かれたはヤバイって!今ちょっとゾッとしたわ」

「キラリちゃんそういうの駄目?どんなシチュエーション想像した?」

「ちょ、アカリそこ掘り下げんの……。まぁ、なんか、ほんとは後二人いて、二人が先に帰っちゃって、彼女だけ帰れなくなったみたいな」

「「彼女?」」

「あれ、ボクも女の子だと思ったけどミヤコとアカリは違うの?」

「ただの人影じゃん?性別とかわかんなくね?」

「え嘘、だってこれ、え、女の子――」

「ふふ、キラリちゃんには何か見えて――」

「ストーーップ!終わりっ!!次!!!!」


 ――――――――――


 投稿者:街角の門松

 これは友人たちと肝試しにとあるトンネルに行った時の写真です。特に心霊スポットという訳でもないのですが、もしかしたら出るかもという気持ちだけでスリルがあって楽しんだのを覚えています。

 肝試し中に何枚か写真を撮っていたのですが、その中の一枚に友人の足が無くなっている写真が撮れていました。その後、その友人は足を怪我したという事もなく、いたって健康そのもので安心しています。


 日は落ちているものの、未だ赤みがかった空。肝試しというにはずいぶん早い時間に撮った写真であるのが伺える。写真右側には件のトンネル入り口が写っており、続いて外に伸びるガードレールに腰かける形で男性がカメラに向かって軽くポーズしているが、その左足がない。

 ふとももの質量を感じさせるハーフパンツの膨らみが、ぽっかりと虚空の穴を開けている。地面に置かれているように見える靴からは、ほんの少し自立するように靴下も見えており、故意に演出するには随分と手の込んでいる一枚だった。


「うん、無いね」

「見事に無いねぇ……。しっかりしたツール持ってる人ならこういう加工も出来なかないとは思うけど」

「てかこの男の人、足めっちゃキレイじゃね?元々薄いのか剃ってるのかわかんないけどいいわー」

「えー、私はしっかり生えてて欲しいけど……」

「アカリちゃんはこの場では少数派なのできゃーっか。それよりみんなこの首のところどう思う?」

「「首?」」

「線というか、影が一本入ってるよね。スタンプで顔を隠してるから実際どうなのかは分かりにくいけど、おかしくないかい?」

「んー……?まぁ影は入ってるけど……」

「心霊写真ってさ、曰くがやっぱり大事で、これがキラリちゃんの言う加工を施した作品だったとしても、それに付随した曰くが尤もなら、それは本当の心霊写真だよねって思うんだ」

「どしたナエち。日本語で話していいんだよ」

「ほんとオタク気質だよね。で、つまりどういうことだってばよ?」

「いや、単に気になったからみんなはどう思うかなって」

「会話下手かよ。別になんとも思わないし、送ってくれた人もなんも触れてないじゃん?」

「あぁ!サナエくんの意図が解ったよ。さっきの写真と同じことしようとしてるんでしょ。この写真をより怖くしようとしてるんだ」

「おっけ任せて。この影からわかる真実は――首絞めフェチ」

「おい誰か止め――え待ってつまり締められる側?ってこと?ちょっと詳しく聞こうか」

「待った待ったそういうのじゃないよー!」

「んじゃ飼い犬プレイだ」

「ふふ、ほんと猥談好きだよね」


 ―――――


 投稿者:宗近

 一週間くらい前の事、自宅で夜中に仕事していると、玄関の方からカリカリと音が聞こえてきたんです。私は一人暮らしですし、おかしいなって思って。でも振り返っても誰もいない。声をかけても返事は無い。怖かったので写真を撮ったんです。そうしたら暗闇の向こうからこちらをじっと睨みつける目玉が二つ写ってました。自宅で作業をするとそれからどうも体が重たいんです。何かに取り憑かれてしまったんでしょうか。


 写真はリビングを映したもので、確かに光る目玉が写っている。


「にゃーん」

「かわいい」

「ねこてゃん……」

「次は、と」

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