9/2010
ある彼の話
ある路地裏
「俺は異世界に行きたいんだ」
男子高校生はいった。
「うーん、だめだあ」
青色のローブを着る顔を隠したものは、にやりとした。
「どうしてだ」
青色のローブはびしっと指をさす。
「違うから」
「違うってなんだよ!あんただろ!?異世界に行けるっていうなんかを渡してんのは!?」
「私は“必要”な相手にしか渡さない」
「俺、だって…!」
青色のローブはにこっとする。
「自分の人生落ちるとこまで落ちるまではここで頑張るんだあ」
「別に落ちてねーし…」
「落ちて落ちて、もうだめってなるまではあがいてあがいて、かっこ悪くても負け犬でも場所があるならそこで頑張るんだあ」
「…なんなんだよ!?くれるって聞いたのに!?」
「さよならだあ、また会えたら」
青色のローブは行ってしまった。
男子高校生はぎゅっと拳を作った。