陸4 終わり
陸は双子の姉に比べると強さとかはなかった。
二人の母はというと、里多を可愛がっている感じがあった。
陸にたいして何かは言わないが
言わないのはいいことなのかもしれない。
でも。
言われなさ過ぎるのも興味がないからかもしれない。
ほめられるのは里多。
強いのは里多。
ずっと里多。
陸は、里多が嫌いだ。
でも、理由は。
なんなのかわからないことが一番嫌でたまらない。
そんな姉からひし形の髪飾りをもらった。
「お母さんから!私たちに」
「お母さんが?」
どうしてかはわからない。
でも、陸はそれをつけた。
陸は赤井の家へと一人で来たとき、いつきがいた。
「陸お兄ちゃん。こんにちわ」
いつきは挨拶をして、いう。
「かいとお兄ちゃんはかなたお兄ちゃんと出かけたよ」
「…あの、桜子さんに会いたくて」
「桜子お姉ちゃん?うん!」
赤井の家 地下
闇色のかけらの入ったびんがある。
いつきはそっとのぞく。
陸は声をかける。
「あの…」
桜子は声で誰かわかる。
「陸くん?どうしたの…?誰か他にいる?」
いつきが答える。
「桜子お姉ちゃん!私いるよ!」
「あまり、来てはだめっていってるのに…」
「ごめんなさい!でも…桜子お姉ちゃんに会いたいっていったから!来た!」
「…うん。…いつきちゃん。連れてきてくれてありがとう」
桜子はどこか、息をつくと陸へと話しかける。
「陸くん。どうしたの?」
優しげな声が部屋に響く。
「…あの、僕…その…その…」
桜子は声を待つ。
静かに待つ。
陸は思いっきり声を出す。
「僕!里多が嫌い!嫌い嫌い!お母さんも嫌い!あと、かいとも嫌い!」
いつきはびっくりする。
聞く。
「…私も?陸お兄ちゃん!嫌い?」
陸の方へと泣きそうな目をする。
「あ、嫌いじゃないよ!」
「よかった…」
桜子はいう。
「嫌いなんだね…そっか」
「…でも、でも!でも!一番嫌いなのは!何で嫌いかわからない僕です!」
「…嫌い…か」
「でも、嫌いなのは嫌で、好きになりたい。あの、僕…好きになりたい、です…あの。桜子さん。どうしたら好きになれる…ですか」
桜子は困ったような声を出す。
「私…何も知らないけど…あの、昔、言われたことあって…嫌いなのは好きになれないって…あ。えっと、ごめんね。うまく言えない…」
桜子は声があわててることがわかる。
「でも、ね。好きにはなれなくても…えっと、嫌いにはなれないっていってたよ…」
なんとか桜子は答える。
「嫌いに、なれない、ですか…?」
「うん、えっと…今は嫌いでも…好きになるときもあるかも…もしかしたら!うん!」
「好きになるとき……」
陸は頭を下げる。
「ありがとうございます!僕の話、聞いてくれて…」
「ううん、何の力にもなれないから…私…聞くことしかできないから…ごめんなさい」
「いえ!うれしいです!聞いてくれて…うれしいです!」
陸は必死に答えてくれたことが本当にうれしい。
聞いてくれてうれしい。
好きになれるかわからないけど。
嫌いにはなれないこともある。
好きになることはなくても。
そして、いつのまにか桜子に恋をしていたことも気づいてなかったけど、今の陸はわかる。
赤井の家へと向かう。
陸はいう。
「桜子さんの声聞いてると安心…してさ。あー。かいとには言いたくなかった!」
「聞かせろ聞かせろ。陸」
かいとに話すとやはり陸はなんだか腹が立つ。
小さく一つつぶやく。
「嫌いになれなくて困る…」
「陸?何て言った?」
陸はもう、笑ってしまう。
「何でもないよ。かいと」




