ソメリの話したかっこと
かいとは、ソメリと話が続いていたが、時間は過ぎるのが早く、うづきがいう。
「かいと、ソメリ。ごめんね。そろそろいいかな?」
遠慮がちに声をかけてきた姉にかいとはいう。
「あ、ああ。ごめん」
ゆらは黙っていて、椅子に座り、二人の姿を見つめていた
かいとは、感謝の気持ちを伝える。
本当にありがとうと伝えたい。
「教えてくれてありがとうございます!俺、探しても見つからなくて、正直…もうだめかと思ってたんです」
「いえ、私はあの人からたまたま、聞けただけです」
「いえ!俺はあなたに会えてよかった。…方法なんて、見つからなくて、どうしたらいいかわからなくて。俺、勝手に諦めてたんです。でも…俺は、諦めの悪いばかで、結局一人じゃ見つけられなかった」
かいとは、まだ続ける。
「あなたが来てくれて、あなたや、エリィーさんがいたから。その教えてくれた人も。だから俺は方法を知ることができた。」
かいとはだらだらと言う自分にいらつきながらも、顔や言葉は不器用に続ける。
「俺に教えてくれて本当に、本当にありがとうございます」
ソメリはどこか目線をおとす。
でも、この言葉を言うときはかいとの方を向く。
「私も、あなたに会えてよかった…そして、桜子さんという方がいることを知れて…よかったです」
ソメリは頭を下げると、うづきと部屋を出ていく。
かいとは、二人が部屋を出ると、泣きそうになる。
エリィーの話を聞いているときはわかりやすく、悲しげではあったが、泣いたりはしない。
だって、本当に辛いのは話をしている方だから。
_だから、俺は泣いてはいけない_
ゆらは、かいとの方へと行く。
「泣きそうか?」
「んなわけないだろ!?俺は泣いたりはなんかしねーよ…あ、しない、です!」
「泣いてもいいぞ?もう二人はいないし」
かいとは顔を振る。
「泣いてねーっていってんだろ」
かいとは泣かない。
ゆらは、ただ、彼の近くにいた。
泣きそうな誰かがいて、そばを離れるよりもそばにいたい。
たとえ、嫌がられても一人にはしたくない。
ゆらは、まだいう。
「誰も見てなきゃ、泣いたっていいんだ。誰だって強くないんだ。弱いとこを見せないだけで」
かいとは、ゆらに背中を向けてる。
「泣かねーよ、俺は」
ゆらは小さく笑う。
「そうか」
うづきとソメリは小学校を出て、話す。
「うづきさん、ありがとうございます」
「いやいや、別に。」
「あの、私この国の言葉知らないけど通じてたんですが、その道具、すごいですね」
うづきの服についている茶色のバッジは、どの国でも言葉が伝わるのだ。
「ねー、これ便利よね…」
うづきはにこにこしてたが、顔が青くなっていく。
「…怒られる…おこられるわ…」
ソメリに抱きつく。
「今回専用空機体、使ったから…帰ったら…それなりにしかられる…」
「私も一緒に謝ります」
「ありがとおおおお!」
ソメリは、ここへ来たのは、前へと進むとか。
そういう希望のためじゃない。
桜子へとつなぐというのはあったが。
でも、そういう前へ進む気持ちで来たわけじゃない。
希望なんてないのだ。
彼女はいない。それが続く。
何をしたって。
他国へと戻ったソメリは旅をすることにした。
「桜子さんへつないで、私は前へ進む?そんなのはない。私がここへ来たのは、エリィーならそうすると思ったから…それが理由」
「進むけど、エリィーと一緒だから」
びんを抱きしめる。
かいとを思い出すと胸が痛い。
ソメリはあんな風に決めれるようになりたかった。
助けられる力がなかった。
なかったから。
心の強さがなかった。
「エリィー。私のしたことはよかったのかな?わからないんだ、これでよかったのか、でも…」
_エリィーがここにいたことは
_つながるよね
_一人でも、それでも
_ごめんね。弱くて、でも…自分で命を捨てるのもできないから
ソメリは涙を流す。
ひきょうでも。それでも。
_私はいう。
「一緒に進もう、エリィー」
広く、広い青空。
咲くのは、青や赤の花々。
その先をいく。
彼女のびんをもって____。




