かいとと図書館
かいとは、図書館に行くことがある。
調べたいことがある。
桜子がかけらと人の姿に分かれて、桜子と同じように分かれた他国の少女が壊れたことを知り、かいとは焦っていた。
かいとは桜子に壊れてほしくない。
それが理由だ。
彼女は人ではない。
けれど、かいとにとって大事な幼なじみだ。
だから探す。
図書館の長いテーブルの椅子に多くの本が置かれている。一つずつ、見てはいくが、やはりどうしたらいいかはわからない。
ならばと、図書館の地下へも行く。
許可を取り、扉を開くと。
枕が顔に当てられた。
床に枕が落ちる。
片膝をついて、拾う。
図書館の地下には、また多くの本棚が置かれた場所がある。
そこは、言葉でいうなら、青空の空間だ。
まるで、空を浮いているように思える。
そこには、特殊な本が数多く置かれている。
が、そこを探しても桜子をどうしたらいいかわからない。
そこを好む少女は、べーと舌を出す。
かいとの拾った枕を無理矢理に取ると、いう。
「マイとマウの邪魔しないで!出てって」
少女は少年の隣に座ると、少女は少年の頬をつまむ。
少年はというと枕に頭を置いて眠っている。
少女も少年も十才ほどで、顔は似ていないが淡い青の髪色は同じ。
少女は、肩くらいまでの長さの髪だ。
服装は二人とも茶色のネクタイシャツに半ズボン。
半ズボンの下はピンクのタイツをはいている。
少女はマイ。ネクタイの色は黄色。
少年はマウ。ネクタイの色は青色。
マイはかいとへ枕を投げるような体制のみをする。
「出てって!かいと!」
マイはかいとをにらむ。
「私はマウといるの!邪魔!」
「探すくらいはいいだろ、マウとの時間は邪魔しないし、静かに探すから」
「いやよ!というか、もう何度も探してるでしょ!もうあきらめなよ」
かいとは顔を振る。
「あきらめねーよ」
かいとの目にマイは嫌な顔をすると、いう。
「でもさあ、かいとは、赤井の人でしょ、なら、さ」
かいとは眉をピクリと動かす。
「桜子お姉ちゃんのこと知ってるはずだよね?」
「それは…あんまり、知らなくて」
少女は、にこっとする。
「赤井の屋敷は調べてないの?」
「それ、は…」
「あっ、調べたのね?で。んーと、」
マイは質問する。
「なかったとか?」
かいとは、すぐにうなずく。
「そ、そうなんだ、なかったのね!ならあきらめることね!」
かいとの顔がどこか、悲しげでマイは言葉を続ける。
「それか、桜子お姉ちゃんを助けられる方法はなくて…この言葉、嫌いなんだけど」
「殺すしかないとか?」
かいとは苦い顔をする。
「この言葉、私嫌い、でもそれしかないとか?」
かいとは、素直に答える。
「赤井家でも、探したんだ…その、先祖様の書いたようなのがあって、桜子が壊れるときは赤井家の役目で殺すこととなっていた」
「そっか、でもさ、かいとはどうして桜子お姉ちゃんを助けようとしてるの?お姉ちゃんはいい人だけど、赤井の人のきまり?なんでしょ?」
「…幼なじみを助けたいだけなんだ」
「人じゃないのに?」
「関係ない」
かいとは言葉を続ける。
「俺は桜子を助けたいんだ」
「…今は人でもかけらだったら?そう思わないんじゃない?」
かいとは黙る。
「…そう、かも…しれない、でも、俺はかけらであっても助けたいと思ってた」
「桜子お姉ちゃんのこと好きなの?」
「好きだ」
「人間以外が好きなんて…趣味は人それぞれね」
少女は上を向く。
この空が続く空間に流れる白い雲を見たのだ。
少女は、いう。
「あのね、最近ある人と会ったの」
「誰だ?」
「赤井…悠磨っていってた」
「悠磨さんが?」
赤井悠磨
赤井敬造の一人息子である。
そして、数年前に赤井家を出ていっている。
かいとは
「悠磨さん元気だったか!?家を出ていってて」
「元気そうだったわ」
「何しにここに?もしかして、敬造さんに会いにとか?」
「よくわかんないけど、赤井の人どうしてる?とか聞かれたの、元気?みたいな感じで」
「そうなんだ、直接家に行けばいいのに」
かいとは何となく会いづらいだろうなとは思うが、来たということは、敬造とけんかして出ていったらしいため、仲直りとかしにきたんだろうとおもう。
「あの人、桜子お姉ちゃん嫌い?」
「え、なんで」
正直どうして悠磨が出ていったのか、かいとは知らない。
マイはどこか肩をふるわせる。
「なんか、桜子お姉ちゃんの話してるとき、こわかったから」
「嫌いとかはわかんねーけど…」
マイはどこか心配げに上目使いでかいとを見る。
「気をつけるのよ」
と、枕をかいとの顔に当てた。
「あ、ああ、でも人に枕を投げるのはやめような?」
かいとは図書館を出ていった。
マイは、眠るマウの頬をつまむ。
「桜子お姉ちゃんのこと…嫌い、なのかな?」
小さくつぶやいた。




