陸 かいと 桜子 色葉→誠
沢野陸はかいとと桜子を後ろからこっそりと見ながら歩いていた。
「桜子って最近、何が好きだ?」
「私は、音楽聞いたりすることが好きだよ」
「音楽か、あんまり聞かないな、いつきが聞いてるの聞いたりしてるけど」
「いつきちゃん、何聞いてるの?」
「なんか、色々聞き過ぎてて、何でも好きみたいで」
「素敵な音楽ばっかりだもんね」
「音楽も歌詞もいいっていつきはいってるな」
「うん、音楽に歌詞!とってもいいんだよね!」
「いつきも同じこと、言ってたな」
「いつきちゃんと会ったとき、いっぱい話したいな」
「喜ぶと思う、いつき」
「うん!」
と、そこへ声が響く。
「かいと先輩!おはようございます!何の話ですか?」
色葉がかいとの腕に抱きつく。
桜子は眉をピクリとする。
「音楽の話をしてたの、ねえ色葉さん?近すぎないかな?」
「どうしてですか?先輩とこうしたいからですよ?」
「いや、俺も思うが、近すぎないか?」
桜子がにこりとする。
「ほら、かいとくんも困ってるわ…ね?色葉さん」
「いーやーでーす!離れません」
というのを陸は見ていた。
いや、本当にかいとの何がいいんだかわからない。
今日は桜子さんと登校の日ではないため、残念だというのに。
陸はいらいらとする。
「はっきりしてほしいんですが」
陸はいらいらしつつも、教室に着く。
自分の席に座りおとなしくする。
陸は窓側の席なので、外がよく見える。
窓が開いてると寒いこともある。
とりあえず、外を見つめてると、鳥が三羽程飛んでいていく。
が、三羽は同じ距離で飛んでいたが、急に一羽、段々と疲れたのか後ろの方へと遅くなり、飛ぶ場所も低くなっていく。
それでも前の二匹はその一匹の方へは行かず、前へ前へと進んでいく。
陸は外を見るのをやめた。
なんとなくおいていかれる鳥が見たくなかった。
なんでか、見たくなかった。
「陸、はよっす」
「おはよう、誠」
陸に挨拶したのは黒髪がとがっているのが特徴の男子高校生。
里先誠である。
陸がかわいい感じの容姿であると、誠はどちらかといえば、かっこいい感じのしっかりとした顔つきだ。
「なんか、元気ないな、何かあったのか?」
「かいとくんがなんか、とてももててるんだ」
「え、うらやま_…じゃなくて、あいつがもてるのは前からだろ、特に桜子といると男どもにらんでるぞ」
「桜子さん、きれいだからだね」
「お前も桜子といるだろ?にらまれないな、お前は」
「え、なんで?」
「お前、男にもててるらしいぞ、裏で」
「え…僕、男なんだけど…?」
「かわいいとか言ってる奴もいるみてぇだ」
陸はなんとも言えない。
悪口ではないようだし。
嫌なことはされていない。
だが複雑だ。
「うーん、なんか、なんとも言えない、悪口ではないみたい?だし」
「俺は絶対かわいいとは言われたくないな、まあ言われねーし…俺」
「…うーん、複雑だな…」




