いつきと優斗
優斗は庭の外までいつきを送るという。
「これからも有理架様のことよろしくおねがいします、いつき様」
いつきは何度も頭を下げる。
「体育館を使わせていただいて、戦いまで見せてもらって、よろしくお願いするのは私の方です!」
「気をつけてお帰りくださいね」
「はい!ありがとうございます…おじゃましました」
いつきが行ってしまうと優斗はつぶやく。
「といっても有理架様を傷つけたら許さないですけどね」
いつきは空を見る。
早く来ていたため、明るい空だ。
強くなりたいと思っていても強くなれないなと。
なんだか、苦しくなる。
強い人は強い。
どんな状況にいたとしても。
どんなに苦しいとしても。
「…強く…なりたいのにな」
いつきは頭を抱える。
おかしくなりそうだ。
「なんとかならないかも…」
不安ばかりが心に広がる。
もうだめかもしれない。
強くないと、生きていけないのに。
「どうしよう…」
でも、どうにかするしかない。
息が苦しくなっても。
強くなると決めた。
なんとか、上を向いて自分の顔を両方の手のひらで叩く。
「強くなれないなんていうな」
自分へという。
「強くなるんだ」
だが、自分で叩いた顔が痛い。
「いった!強すぎ!いった…」
有理架を思い出す。
「こんなこと言ったら、また有理架さんに叩かれる!」
いつきは前を向く。
「強くなれ強くなれ強くなれ…私、強くなるんだ!」




