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なななとゆら

なななは、連れていかれると廊下は電気がついていて、窓の外は暗い。


「私…」


「…あれを出したのは…あなた、だったんだな…」


「はい…」


「どうして」


かいとは聞いた。


「…関係ないでしょ」


なななは静かに答えた。

かいとは名前も聞く。


「名前、は…?」


「前川ななな…」


「これから、セツナの部屋に行く、そこにゆらさんがいるんだ」


「…ゆらさん…?」


階段を登り2階に着くと、ある教室の前に着く。

扉に白い紙で“セツナの部屋”と書いてある。


かいとは、ノックをするという。


「ゆらさん、いますか?」


扉が開く。


青髪ショート。黒いスーツ姿の女性が出てくる。


「かいとか、どうした?彼女は誰だ?」


「あの…多分あの動物を出した人…だと思って」


ゆらと呼ばれた女性はなななをみる。

鋭い目だ。

なななはしっかりと答える。


「私があの動物を出しました」


「中で話をしよう」


中へと入るとそこは机がつながるように置かれ、その上には多くのファイルや本、紙などが置かれている。

教室の窓側にはさすがに何も置いてないが壁側には棚が置いてあり、ファイルなどが並べられている。

そんな空間であった。

床にはさすがに物は落ちてなく…いや、少し紙がある。

ゆらはその状況の部屋のため隣の部屋を使うことにする。


「散らかっているから隣で話そう。」


隣の部屋は広い部屋で机が一つあり、椅子が二つある。

なななを椅子へと座ってもらうとゆらも机の反対の椅子に座る。

かいとはいう。


「俺は、出てた方がいいですよね、ゆらさん」


「そうだな、出ていてほしい」


「わかりました」


「帰らないのか?暗いが」


「もう少し、います」


「…帰ればいいだろう、いつきも待っているだろう」


「もう少し、います」


「勝手にしろ」


なななをちらっと見てかいとは部屋を出ていった。




ゆらはいう。


「少しあいつと話しすぎた、すまない」


「いえ…あの人は?」


「かいとというんだ、結構気にするやつだから」


「そうなんですか…」


ゆらはほんの少しの柔らかさのあった目が変わる。細く鋭くなななの目を見る。


「名前は?私はゆらだ」


「私は前川なななといいます」


「そうか、なななと呼んでいいか?」


「はい」


「まず、今日の動物出現はお前がしたことか?」


なななは嘘はつかない。


「私です」


「理由はまずは聞かない、本当に能力者なのか?」


「私です」


「能力を使ってもらえるか?確認がしたい」」


「あ…私はうわさされている何かを出現できます、その動物を操ることもできます」


「…うわさが必要なのか?」


「はい…」


ゆらは質問する。


「私はどうすればいい?」


「あの…この部屋に何かがいると私がいうので、何でもいいので答えてください」


ゆらは「わかった」という。


「うわさで、この教室に何かがいるらしいんです」


「何かがいるのか?」


なななは、静かにいう。


「うわさの何か、出てきて」


なななの隣に犬のような動物が現れる。


ゆらは目を開くと、いう。


「もっと凶暴そうな動物のはずだ」


動物は姿が変わっていき鋭い目でゆらをにらむ。


「…本当のようだな、わかった」


静かにゆらはなんの遠慮もなくいう。


「今日けが人が多く出た」


なななはゴクリとする。


「…っ」


「お前がしたことなんだな」


なななは下を向いているが、ゆらはやはり静かに声を出す。


「その力は生まれつきか?後からか?」


「中学3年の…頃です」


「そうか…後からの能力者はその力を悪用しなければ他の人達と同じように生きていけるんだ、だがななな、お前は人を傷つけた」


「…はい………」


なななは下を向き続ける。

自分の治っていく手を見てもう片方の手で傷口ではないがガリガリと腕をひっかく。


「能力を悪用する場合、最悪、処分となっている」


ゆらは言葉を続ける。


「処分は殺すこととなっている、二度とないようにするためだ」


ゆらは話していく。

本来なら原因の本人はすぐに見つけられないことが多い。

だが、ゆらの前に座る彼女は自分からここへ来た。


「もう一つ、処分としての扱いがある」


なななはうなずく。


「“危怪物発生場所”(きかいぶつはっせいばしょ)へと送られる」


「それは…何ですか…?」


「この世界には怪物が発生する場所がある、そこの一つをお前たちのような、力を悪用したものを送り、倒してもらうとなっている」


「…」


「そこで死のうが生き残ろうが、戦うことを強制される」


なななは、うなずいてはいたが、自分の処分のことはどうでもいい。

質問する。


「あの…私が聞くことではないと思いますが…私がけがをさせた人は…………どうしてるか教えてください」


「治癒力で治り途中の人と…治らなかった人がいる」


「…治らなかった人は…」


「命はある…だが、病院で治療を受け、入院の人もいる」


なななのしおらしい態度にゆらはいらだちを感じ、机に片足を置くとぐいとなななの胸元をつかむ。


「ふざけた態度は腹が立つが、その態度にも腹が立つな」


「…っ……」


なななと目を合わせる。その目は怒りがこもっている。


「だが、ここで私がどなっても…傷ついた人が助けられるわけじゃないからな」


なななから手を離す。


「お前はそこへ行くとしても傷つけた人に謝罪をせずに行くのは勝手すぎることだが、能力を悪用した危険な者を会わせてはならないが決まりなんだ」


次の日の朝。

ゆらとなななは車に乗っていた。

黒色の車を運転するのはゆらだ。

車は止まっている。

なななは声を出す。


「お願いがあります…私は、傷つけました、だから私を…殴ってください」


「お前を殴って、あの人達のけがが治るのか?」


「嫌なんです…私がしたことです…でも、でも私は傷つけたのに傷つかないで行きたくないんです」


「…」


ゆらはばしんと頬を叩く。

冷たく凍った目でいう。




「殴られたくらいで許されると思うな」



なななは何も言わず、頬は赤い。

それから、静かな車内が続き、ゆらがいう。



「お前…理由は言わなかったな、まあ、聞かないと言ったのは私だが」


「私が…勝手にしたことです」


「あっちに着いたらちゃんと答えろ、聞かれるから」


「…はい」


それから駐車場につく。


“危怪物発生場所”の者はいた。

黒髪を後ろにまとめた女性はゆらに気づくと手を上げる。


「ゆら、こっちだ」


「ああ…」


「その人だな、能力を悪用したがおとなしいというやつは、おとなしいふりじゃないよな?」


女性は警戒するようになななを見る。


「まあ、逃げようとしたら私は許さないがな」


女性は低い声でにたりとぞっと、体が震えるような顔をした。

ゆらは質問する。


「今回は暴れるような人じゃないと言ったから一人か?」


「そうだ、ではお前行くぞ、私についてこい」


なななは、女性へついて行く前に、ゆらへ頭を下げる。


ゆらは何も言わず見送ると、女性も右手を上げ、行ってしまう。


青色の車の前につく。

なななは何もどうしてそうしたかは言わなかった。

なぜなら


「みなはのためじゃなかった、私は私の勝手で、した…」


女性は質問する。


「何かいったか?」


「何でもないです…」


なななは答えた。赤く腫れた頬。

だか、痛みでは許されない。

誰かを傷つけたことは許されない。許されることはない。

一生、許されない。





その後、ゆらは車を走らせる。

その途中の道でかいとがいた。


かいとを無視しようとしたが


「ゆらさーん!ゆらさーん!!」


と、追いかけてくるため仕方なく駐車場にとめる。


「お前、何してるんだ」


「俺も連れて行ってください」


「一人で行く、私がすることだ」


かいとは車に乗ってしまう。


「お前…」


「行きます」


ゆらはそれからなななが傷つけた人、一人一人の家や病院へと行く。

悪用能力者は傷つけた人に会わせることは禁止されている。

傷つけた人達が危険だからだ。

だから、謝罪をするのは人々を守れなかったこの場所の場長であるゆらの役目だ。

地面に頭をつけ、謝罪する。

かいとは共に頭を下げる。

けがをした本人より、家族の方が怒りが大きい。怒鳴られたり、頬を叩かれたりした。

謝ることでは許されない。

体のけがと心のけがは治ることが難しい。

心は特に治らないことが多い。

これからも生活をしていかなければならないのにその生活に影響がある。

謝罪しても相手は傷ついている。

許されない。

許されない。

赤く痛い頬をゆらは自分でさわり、いう。


「傷ついている人がいる、許されない」


傷ついた人がいる。

許されることはない。

一生。















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