かいととユカリ
ふわふわな紺色で毛先が緑かかった髪の体操着の少女は、ユカリという。
治癒力を持っている。
だが。
浅い傷は早めに治り、深い傷は遅めとはなっているが、人によって治りは違うようだ。
傷にふれることで治すが、万能ではない。
万能ではないので、相手によって傷が治らないということもある。
その理由は
“能力は万能であると、世界をおかしくするという過去のことがあるため、必ずではない”
というのだそうだ。
万能である方が全ては守られるし、守ることができるが、それが世界を壊すこともあるそうだ。
小学校内 保健室前の廊下
かいとは外へと出されたが、考えていた。
あの動物を出現させたのが彼女とすると…。
どうするかは決まっている。
ゆらへの報告だ。
ゆらは、この小学校の教室にいる。
伝えに行かなくてはならない。
ユカリには言わない方がいいと思う。
先ほど、あの動物に襲われ、けがをした人々の治療をしていたからだ。
もし、彼女がその原因だと知れば…。
かいとはとりあえず起きるまで待つ。
保健室内
なななは目がさめる。
目を開けると、誰かいる。
「起きましたね、大丈夫ですか?」
ユカリは質問する。
「私…」
「あなたは、けがをしていて、かいとが連れてきたんです、よびますね」
「…あ」
かいとは入ってくると。
「起きたんだな…その、大丈夫か」
なななは答える。
「はい…あの…ここ…は、わたし…!」
かいとはすぐになななの手をつかむ。
ユカリには彼女のことを聞いてほしくなかったからだと思う。
自分がけがを治した相手が今日の人々のけがをさせた本人かもしれないなんて、聞かせたくない。
「かいと、急に何!?」
ユカリはあわてていう。
「まだ治ってないし、無理は…」
かいとは目をふせてユカリに謝る。
「ごめん、連れてくから」
なななは、立ち上がり、連れて行かれる。
廊下を早歩きする。
「行こう」
なななは、いう。
「あの!わた、し…」
「悪いけど、もしあの動物のことなら、部屋に着いてからにしてくれ」
ユカリはついて行き、かいとの腕をつかむ。
「まって、どうしたの?その人、まだ休んでないと…」
「ゆらさんのとこ行くんだ、ごめん…」
ユカリはそれを聞くと、腕を離す。
「わかった…あの」
なななの方を見る。
「まだ治ってる途中だから無理に手を動かしたりしないでくださいね」
なななは、手を見る。
痛みは少なくなっていて、傷が小さく塞がってきていることに気づく。
心配してくる少女の目を見たなななはその優しげな目を合わせることはできなくそらした。




