前川ななな
前川なななは、可桃みなはと出会ったのは小学生の時だ。
うまく話せない彼女の手をつないだのはみなはだった。
みなはがいたからなななは一人じゃなかった。
中学生となり、同じクラスになり、二人は変わりなく友人であった。
学校という環境には一人は意地の悪い者はいる。
前川なななはきれいであった。
だから気にいらなかったのだろう。
みなはは、なななを守ってくれた。
でも…。
前川なななは後悔している。
みなはへと涙を見せなければよかったと。
後悔している。
みなはの勝手な悪いうわさが流れた。
それを、一部の人はおもしろがった。
みなはは、勝手なそのうわさで命を落としたのだ。
身勝手すぎる。
気に入らない?
その一つで?
誰かの人生を壊してもいいのか?
「………………………」
言葉は出ない。
みなははもういない。
なななは、自分に後悔した。
けれど、後を追えるほどなななは、強くない。
生きたのだ。
それでも。
生きてしまった。
だから、一時記憶は忘れて、みなはを忘れた。
だけど、自分の力に気づく。
うわさ話が耳に入って、何かがいるとかいないとかどうでもよかった。
でも、そのうわさの場所である空き教室に昼休みに一人で行く。
「何かいるとか、いないとか!みなはがいないのに!!」
腹が立つ。
うわさうわさうわさうわさ。
本当か嘘かも分からないのに。
「いるなら、いればいいじゃん!」
そこに何かいた。
動物だ。
とがった耳。黒色の毛並み。犬のような。
動物は、なななの足に体を寄せてくる。
「あなた、は?」
なにも答えない。
でも、膝をつくと頭をなでる。
「…どこから入ってきたの?」
なにも言わない。
「うわさの何か?」
答えはない。
「うわさなんて、消えちゃえばいいのにね」
動物が音もなくふっと消えてしまう。
なななは驚く。
「え?」
それが最初で、気づく。
自分はうわさが言われる場所のみで、何かを出現できる。
こんなのがあっても、何もできない。
でも、動物はなななの近くにいてくれた。
みなはを忘れた自分も痛くて、怒りがある。
いつのまにか高校受験。
前川なななは、みなはを失い、苦しんだが、学校を行かないという選択はできないので、心は死にながら過ごした。
受験は合格。
ほっとして、でも、隣にいない誰かは忘れて。
忘れて、学校へ行き、アルバイトをした。
忘れたふりをして。
でも、入学の春。
可桃みなはに似ている生徒が来て、息をのむ。
なななは、みなはを思い出して、強く自分を責めてきた。
それと同時に自分とどこか似た力のようなものを感じ、だから。
彼女の靴箱に手紙を置いた。
その理由はなんだったのか
みなはのことを忘れようとした自分の許せなさか。
似ている彼女と話がしたかったからか。
わからない。
わからない。
そして、前川なななは、今になって、あのうわさがどこからかを中学の時の意地の悪いあいつの家まで行き、聞いた。
そうしたら、知らないとのこと。
うわさで聞いたからそのうわさをおもしろがっただけ。と。
なななは、何も言えなくなった。
ということは、そのうわさは、誰が広げたかわからない。
そんなことが。
あるのか。
あっていいのか。
もっと、何かできたはずだ。
近くにいたのに。
守ってくれたのに。
何も、しなかったんだ。
けど、つぶやく。
「誰かの勝手で誰かの命を奪っていいのか?」
前川なななは今回のことで、けが人が出た。
同じことをしたのだ。
同じことを。
どうして同じことを。
腹がたって、腹がたって…。
「私は…私もそいつと、同じことを…」
誰かの勝手で誰かの人生を壊すのは許されない。
許されてはいけない。




