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せなとうわさ7 終わり
うわさは嫌いじゃない。
誰にも迷惑をかけないうわさなら。
嘘のうわさは誰かを傷つける。
うわさは好きだ。
誰かを傷つけないうわさなら。
せなは姉が大好きだ。
姉はいつも笑っていて優しい。
でもその笑顔の裏の苦しみに気づかなかった。
せなは気づけなかった自分がひどく腹がたった。
気づければ。
気づければ。
気づければ。
どうして、気づけなかった?
好きで、大事だったのに。
どうして?なんで、言ってほしかった。
「お姉ちゃん、おはよう」
せなは姉へと話しかけた。
「おはよう、せな」
いつもと同じ朝。
どうして、どうして、どうして。
せなは気づけなかった。
気づけなかった。
目を大きく開き、せなはいう。
「ちがう、気づかなかった」
せなは目が覚める。
「お姉ちゃん…」
せなは顔が引きつる。
泣きそうになる。
でも、もう泣いていられない。
行かないと。
玄関の扉を開く。
「いってきます」
せなは扉を閉めて歩き出した。




