3/2006
色葉との会話
いつきは自分は好かれないことを知っている。
けれど、色葉と会うと笑顔になってしまう。
「色葉!」
公園でいつも待ち合わせをしている。
色葉はいつきに気づくと手を振る。
「いつき、おはよう!」
「おはよう、色葉」
「じゃあ、行こっか」
「うん」
二人並んで話をしながら高校へと歩いていく。
色葉がいう。
「そういえばさ、2年生の田近先輩って不思議な人らしいよね」
「あのきれいな人?」
「そうっ、話してみたいよねー!ていうかさ、2年生のかいと先輩の教室も遠いよー」
「そうだね」
いつきは一瞬嫌な顔をした。
「兄さんの何がいいの?」
「えっ、かっこいいから」
いつきは、目を丸くしていう。
「え?」
色葉も同じ顔でいう。
「え?」
いつきはそう思っていない。
「わかんない」
「近いから分かんないだけだよー」
色葉がかわいらしく笑うからいつきはもう何も言わなかった。