せなとうわさ5
ミカオの店。「ミカオノルン」
いつきはたいやきを食べ終わると手を合わせる。
「ごちそうさまでした」
「…おいしかった?」
「はい!もう!おいしくておいしくて!幸せです」
「よかった…」
そこへ、誰か来る。
かいとが入ってきた。
「遅くなるならメールしろっていってるだろ!」
いつきは黙る。
「…かいと」
ミカオはかいとの方へと行くと、背伸びをして手を伸ばす。
どうやらかいとの頭がなでたいようだ。
かいとはしゃがみこむと、ミカオは頭をなでる。
「…かいと、なでなで…」
かいとは、いう。
「ミカオ、元気か?いつきは迷惑かけてないか?」
「…たまに…物落とす…でも…がんばりや」
いつきはあわてていう。
「す、少しは!迷惑かけてるけど!でも!ちゃ、ちゃんとできるように気をつけてるよ!?兄さん!」
「そうか、迷惑かけてるのか、ごめん!ミカオ!」
かいとがあやまりだした。
ミカオはいう。
「…がんばろうとしてない…嫌。でも、がんばろうとしてるなら…好き。」
「ミカオさん!ごめんなさい!」
「いつき…がんばろうしてる…見える、から…ちょっと好き」
いつきは答える。
「よく失敗するから好きじゃない時もあるんですね!?すみません!ミカオさん!」
かいとはその会話を聞きつつ、まわりをきょろきょろする。
「シャンディさんいないのか…?」
かいとはつぶやいた。
「なななさん…でも、他の人は真面目にいきてる人もいます、なのに、そんなことよくない」
「どうして…?どうして?あなたの方がわかるはず、大事な人を失って苦しいのは…私よりもあなたたちのはず」
「…でも、でも!私はその相手だけが苦しんでほしい!なのに」
「私は…うわさのものを出現できるだけじゃない、それを操るもできる」
なななは、上を向く。空は暗いがまだ明るい方だ。
「さあ、あばれて」
せなは何もできず立ち続ける。
「なななさん…!」
先ほど、学校にいた動物は、ピクリとして、走りだし、公園に行くと、近くの人へと向かう。
他にはあるビルのあたりでぴくりとした一匹の動物はボコリと形が変形して鋭い目をして、人へと襲いかかる。
住宅街にいる一匹の動物も変形していき、きょろきょろとする。
ようたは住宅街を歩いていた。
異世界には行けずだったが、仕方ないと現実を生きている。そこへ、何かが、飛びかかってきた。
「!?」
ようたの前に緑色の玉が現れる。
緑浮遊体は、ばちりっと何かをはじく。
「なんなんだ…!?」
ようたは動けなくなり、飛びかかってきたものを見る。
頭が大きく、体は小さな、犬のような動物。
それは、はじかれても、まだ襲ってくる。
ようたは、助けを心の中で求めた。
ミカオの店。「ミカオノルン」
__かいとは、青色の携帯に電話が来る。
「電話だ」
かいとは、誰かと話をしていて、すぐに終わるという。
「何か、怪物が出た!ここから出るな!泊まらせてもらえ!」
と、走って行った。
ミカオはいつきへいう。
「いつき…泊まる?」
「い、いえ…帰ります、悪いです」
「…気をつけて…ね…?」
「はい」
いつきは、そわそわする。
「あの!頭をなでさせてください!」
ミカオはにこりとする。
いつきはミカオの頭を優しくなでる。
「いつき…帰る?…出ない方が…」
「…他の方は帰り時間でもあります、私だって、同じ世界を生きてます、だから帰ります」
「うん…」
いつきは店を出た。
シャンディはというと。
公園で人に飛びかかろうとしていた動物を止めていた。
「わあ、動物だあ、だめだよ?人におそいかかったらあ」
と、動物の頭をなでる。
それを見ていた人は、震えていて、シャンディはいう。
「ここから離れるんだあ」
といい、人は走って行った。
「だめだよ?」
動物はシャンディへと襲いかかり、腕にかみつく。
「…!?っ痛いんだあ」
シャンディはでもいう。
「まあ、でも…一匹、かあ」
「うわさの場所って少ない、ですよね」
せながいう。
「あなたは、みんなを襲えばといいつつ、少なくないですか?これじゃあ、復讐にもならないと思います」
「…そう、ね…だって、他の人は結局関係ないんだもの…みんなを襲えばといっても、誰かはけがをする…でも、でも、私にできることなんてこれくらいしかないじゃない!」
せなは冷たい目でなななを見る。
「これくらいって何言ってるんですか?そもそも、本人を傷もつけないで、できること?ふざけるな」
せなはなななの胸ぐらを掴む。
「こんなので、復讐にもならない、こんなのは、ただの“八つ当たり”です」
せなははっきりという。
「何してるの?こんなんで、何かなるとでも?何にもならない、本人ならいいと思うけど関係ない人を巻きこむな」
なななは、言葉を失う。
「なら、ならどうしたらいいの!?私は…わたしは…」
「何もできないんです、力があったって、そんなもの…そんなものなんだ!」
せなはうつむいて叫ぶ。
ビル辺りに出た動物は人々を襲う。
陸はというと、そこへと駆けつけ、動物を追う。
ひし形の髪飾りに青色のリボンをつけ、茶髪で二つお団子の少女。
陸は、動物を止めるため、動物の足を掴み、飛ばす。
せめて、その間に人々に逃げてもらう。
「早く、逃げてください!」
人々は、逃げていく。
陸はそれを見つつ、動物は立ち上がり、向かってくる。
動物は大きな頭の口を開け、牙が見える。
その口を両手で掴み、なんとか防ぐ。
「…!く…」
牙が手のひらに刺さりながらで、痛みが走る。
それでも、前へと押し出すが、動物は後ろへと、下がる。
牙が抜けたことで、赤い血は流れ出ているが、陸は自分の手のひらの血をなめる。
「いたいですね」
陸はにこりとすると、腕が少しずつ茶色かかる。犬の前足のように見えるが、その先の手のひらの部分は爪が3本長くのびる。
動物は、どこか体を震わす。
危険を感じてるのかもしれない。
動物はそれでも向かってきて、大きく口を開けた。
陸は無口で爪を向けた。
動物と陸は通り過ぎる。
お互いに立ち続けていたが、動物の方がざくりと切り裂かれ、先に倒れる。
陸は立っていたが、膝をつく。
「いった!…でも、倒しました…」
立ち上がると、すぐにけがをした人たちの元へと行った。
かいとはというと。
住宅街にいて、動物を赤の力の拳で倒していた。
かいとは牙でかまれたのか、腕やらから、血が出ている。
ようたはいう。
「あ、あの…!?けがが…!」
「だ、大丈夫だぜ!けがはないか!?」
「僕はないです…あの…前も助けてくれましたよね…」
「そうなのか!?て、いってええええ」
「だ、大丈夫ですか!?」
ようたはあわてていて、緑浮遊体は二人のまわりを飛んでいた。




