せなとうわさ3
うわさは嫌いじゃない。
誰にも迷惑をかけないうわさなら。
嘘のうわさは誰かを傷つける。
うわさは好きだ。
誰かを傷つけないうわさなら。
「二年の教室か」
「やっぱやめようぜ」
「いいだろって…」
少し暗くなった青色の空の下、校舎の前にいた男子生徒は黙る。
そこへと来たのは女子生徒だ。
「だめです!」
女子生徒はせなである。
「暗くなったら家に帰る!ですよ!」
男子生徒はせなに言われ、困る。
「いや、なに?」
「夜に二年の廊下に行こうとしてるのは聞いてました!だめです!用もないのに何かあったら困る人多いです!」
男子生徒は言い返す。
「そっちこそなんだよ?帰ってねーじゃねーかが」
「私は用があるんです!」
せなが叫ぶ。
男子生徒二人は顔を見合わせて肩を落とす。
「わかったよ、帰るから」
「帰るんで…」
二人はそう言って行ってしまった。
せなは腕組みをする。
「全く、これだからうわさは」
せなは言いながら校舎へと近づくとじっと窓を見て、せなはふいと横を向く。
「…何か、か」
せなはその場で歩き、いう。
「何かってなんだろ」
せなはつぶやき続ける。
「それより、ここで待とう」
せなは手紙を手に持っていた。そこにはこう書かれていた。
“「私と同じ力を持っている?それなら放課後、校舎で会いたいわ」”
と、書かれていた。
ので、せなは校舎で待っていた。
そこへ来たのは。
かわいらしい動物。
とがった耳。黒色の毛並み。似ているとしたら犬のような。
「…?なんでここに、はいってきちゃったのかな」
動物が学校にいる。
せなは近づかないが、動物はじっとせなを見上げている。
「…」
せなは動かないでいるが、動物の体がボコリと歪んでいく。
「…!?」
せなは後ろへと下がる。
動物がいるが、形が大きくなっている。といっても頭は大きく、体が小さい。
「…もしかしてこれが何か?襲ってこない…?」
けれど恐怖はあり後ろへと下がる。
とんっと何かにぶつかる。
「え…」
「ぶつかってくるなんて私に気づかなかったの?」
そこには、綺麗な女性がいた。
学生服を着ている。
黒髪に黒目な女性。
美しいとしかいえない。
「…あ、すみません」
「大丈夫よ、何してるの?」
女性は微笑みながら質問してくる。
せなは少し、ぞっとした。
「あら?それ何?」
動物を見てそこまで驚いていない。
「この怖いのは何かしら」
「あ…」
女性はにこりとした。
「うわさに関係する力を持つ人でもいるのかしら?」
「え?」
「あなたは、?」
せなは名前を聞かれたと思い答える。
「せな、です」
「せな…さん、ね?」
女性は笑う。
「私ね、同じ力を持つ人をさがしてたの」
「同じって…」
「…あなたもさがしてたでしょ?私を」
「…」
「私はああいううわさの動物を出現できるの、でも、うわさでいわれてるものだけだけど」
同じ力の持ち主。
同じ人。
せなはなんとなく感じていた。
自分と同じ人がいると。
だから、知りたかった。
「あなた、は…?」
せなは質問する。
女性は答えた。
「私は前川ななな」
「ななな、さん?」
「私はうわさで聞いた動物のみを出現できるの」
せなも答える。
「私は、うわさを本当にできます…」
「わあっ!うれしいわ!」
なななはせなの両手をつかんで笑う。
「その子は私がうわさを聞いて、出現させた子なの、かわいいでしょ?」
「そう、ですね」
せなは少しおびえてた。




