せなとうわさ2
せなは自分の右手の腕時計をさわりながらいう。
「そういえばさ、2年の廊下以外の場所でも、なんかいるとかいないとかのうわさがあるんだって」
その後、学校が終わり、いつきはせなと別れた。
「夜になっても行ったらだめだよ…?」
せなはにぱっとする。
「しないよ!?すると思ってるの?!」
いつきはじーっと見る。
せなは困った顔をしていた。
「しないから!それはよくないし!」
「わかってるよ、ただ心配で…」
「いつきさんは心配性だね!また明日」
「うん、また明日」
いつきは手を振ると、せなも手を振った。
せなの後ろで男子生徒が二人いた。
「なあ、知ってるか?2年の廊下になんかいるんだってよ」
「何がいるんだろうな」
男子生徒は小さい声を出す。
「なあ、行ってみね?」
「だ、だめだろ」
「忘れ物したっていってよ」
せなはその話をずっと聞いていた。
いつきが歩いてくと、ひよこの置物がある建物がある。
ひよこの頭をなでる。
そうすると、カチャリと鍵の開く音がする。
いつきは扉のドアノブをにぎると回す。
その中は、すぐにあったのは広々とした部屋とテーブルが横に三つほど並べられていた。テーブルはそれぞれ椅子が置かれている。
その中の一つのテーブルの椅子に青いローブの誰かは座っていた。
いつきを見ると、立ち上がり、抱きついてくる。
「いつきー!」
「シャンディさん、あの、急に…」
「いつきを見ると抱きしめたくなるんだあ」
「そうですか、あのミカオさんは?」
シャンディはそういえばと紙を取り出すと読み上げる。
「かいもの、いってくる、いつきはそこにあるとけいふいておいて、て」
「買い物いったんですか!?いつもは出ないのに…珍しいですね」
「あんこのたいやきが食べたいってさっき出てったんだあ」
「あんこのたいやきですか…おいしそうですね」
シャンディは質問する。
「ところでいつきはたいやきは口から食べる?それともしっぽから?」
「私は…んーあんまり食べないですが多分、口からな気がします」
「ちなみに私はおなかから食べるんだあ」
「食べにくそうです」
「おなかからがじがじと食べるのがいいんだあ」
「なるほど!私もたいやきはおなかから食べ…熱くないですか!?焼きたてとか!」
「私は熱いのは大丈夫だあ」
「それならいいんですけど…あ、あの、」
「どうしたんだあ?」
いつきは隣のテーブルに置かれた箱の中にいくつかの時計があるのを見る。
「私、時計をふきます…です」
「ごめんごめん、横で見てるだけだから」
「見てるだけですか」
「見てるだけだあ」
いつきは白い手袋を両手につける。
いつきは静かに時計といっても、大きいものではなく腕時計をふいていく。
箱が二つあり、何も入ってない方の箱には腕時計が傷つかないためなのか柔らかそうな布が敷かれていた。
いつきはシャンディに質問する。
「シャンディさん」
「なにかしら?」
「この腕時計は、この時計の画面…?ていうんでしょうか?ここだけをふくんですか?」
「ミカオはそういってたわ」
「はい、ありがとうございます」
いつきは黙々と青い布でふいていく。
腕時計といっても、ミカオの扱う道具は普通のものではないためこの道具も何かあると思えるが、いつきは黙って集中した。
それから、そこへと誰か来る。
「…ただいま」
「ミカオ、お帰り!」
ミカオと呼ばれたのはうさぎのパーカに青いズボン姿の少女だ。
パーカのフードのうさぎのぴょこんとした耳が二つ立っていてかわいらしい。
茶の紙袋を抱えている。
「…いつき、来てた」
いつきは集中しているためそれ以上何もいわない。
静かにシャンディの隣に座ると紙袋をそっとテーブルに置く。
「これは?」
シャンディが聞くとミカオはにこりとかわいらしく笑う。
「…たいやき」
ゆっくりとしゃべる。
「…あんこのたいやき」
「…全部?」
コクコクとミカオがうなずいた。
「他の味は?」
「…あんこ!好き!」
ミカオが笑顔だが、シャンディはいう。
「他にも種類買ってこないってなんだあ」
「…あんこ、おいしい」
「他はなかったの?」
「…あんこ、おいしい…」
静かに答えるがそこは譲らないようだ。
シャンディは買ってきたのに文句言うのも嫌でいう。
「いただいていい?」
「…あんこ、おいしい」
シャンディはたいやきを手にすると、おなかからバクっといく。
「おいしいんだあ!」
「…たいやき…おいしい」
いつきはその隣でたいやきに気づかずに拭き続けた。




