少しの時間前7
いつきと音色が消え、美幸は由々葉に服の首元を掴まれてた。
「で?何とかあっちに行けないの?」
「あの…」
苦しそうにしている美幸を見て、色葉はいう。
「しゃべれないですよ…姉様」
「あ、そうね」
美幸をポイっと離す。
「あ…の…」
「どうにかできないの?」
「できないです…」
「はあ!?」
由々葉は怒りの声だ。
「ちっ……………!もう!」
「音色をどうする気!?」
「は?処分…とか?正直今回どうなるかわからないのよね。…上の方…あいつのせいで」
「…お願いがあります。音色をここへいさせてください」
「それができれば私とか動かないんだけど?」
その時、ドクンッと何かが反応した。
由々葉も色葉も気づいてない。
「とにかく…」
そこへ、色葉は電話がなる。
「誰だろ」
電話してきた相手の名前を見た。
桜子の名前だ。
「もしもし。桜子先輩?どうしたんですか?」
二人とも連絡くらいは取る仲だ。
「色葉さん?急なんだけど今どこにいる?」
「えっと…ここは河原の辺りですが…」
由々葉はおもしろくないような顔でいう。
「桜子ってことは…ふーん…」
電話をしてきた桜子はいう。
「今、封印のものが…」
「え?封印て、たしか………結界を強くしたって聞きましたが」
「今セツナの部屋にいるんだけど、大きな力が一つあって…もしかしてそこで何か起きてる?」
「は、はい。…異空間作りを連れていこうとしたのですが…失敗して」
「異空間作り…が?」
「はい。今困っていて…そこにいつきと少女が入ってしまって」
「え…いつきちゃんが…?」
桜子は声を震わせる。
「どうにかして…そこへは行けないの?」
「できなくて…困っていたんです」
桜子は小さくいう。
「そこに…封印してたものが…向かってるようなの」
色葉は言葉を失う。
「……………え?」




