ある彼女の話(ある二人の過去)6
ある二人の話。
そこは四角形の結界が張られた場所。
そこで少女は目が覚めた。
隣には男性がいた。
二人はなぜか、玉を守ることになった。
そのためだけに存在する二人。
二人には感情もなかった。
けど、二人だったから感情が生まれた。
二人だったから守る。
二人は何年も何年もすごし、笑いあえるようになった。
その笑顔はお互いに信じあうような笑顔。
この場所で玉を守るためだけにある。
けれど
“今”はそれだけじゃない!
この場所も、彼も。
「…私は!」
ようやく玉はルアリースの頭の位置までゆっくりと降りてくる。
ルアリースは玉を持とうとして、クスクスと一人でいう。
「玉は手に入らなかった。なぜなら彼女は自分の未来を代償にして玉を守ったから…おしまい」
ルアリースは一人でいうが、いつきも音色も何のことかわからない。
「それよりも、大事なのはこの玉なのよ、これがほしい。私は」
そこには…玉があるのだが。
ルアリースは、ようやく手の位置につき、ふれる。
「私がほしいのはこれよ」
音色はいつのまにか膝をついている。
ルアリースは音色を見る。
「あー。もしかしてこの力使う精神力みたいなのもうあんまりない?」
いつきは音色が苦しげにしていて、背中をなでる。
「…これさえ手に入れば」
ルアリースは玉を手に持とうとする。




