いつきと迷子 4
小さな少女は静かにいう。
「どうして…私を…」
由々葉は、少女に対して冷たく流すように答えていく。
「何よ?仕方ないでしょ?私の家はあんたをどうにかしないといけないのよ」
「でも…私…悪いことしてないもん」
いつきはただ話を聞く。
由々葉と少女は話が続く。
「してないわね?でも、私はこうしないとだから」
「私、私…」
「作るの?それを?中に入るの?そこへ逃げるの?」
「暗いもん…こわいもん」
「記憶ないとかいってなかった?」
「花見て、思い出したの」
「そう、じゃあ話すの終わり!行くわよ」
由々葉が連れていこうとして、いつきが声を出す。
「…………でも………待って!」
由々葉は声を出したいつきの近くへと歩いてくる。
いつきの目を見て由々葉はいう。
「することなの」
「…でも」
「でもって何?力なしなんでしょ?まあ、どうでもいいけど、そんなこと。でも何もできない奴に邪魔されんのはうっとうしいんだけど」
いつきは黙る。
力なしのことは…正直少ししか気にしてない。
“いつき”は気にしてるが。
今のいつきは強くないことが気にしてる所だ。
色葉は黙っていたが声を出す。
「姉様、それは言わなくていいんじゃないですか」
「あら?何よ?友達に優しいんだ?色葉」
色葉と由々葉はどこか棘のある会話だ。
「…っ」
いつきは、何も言い返せない。
「…」
いつきは、悩む。
だけど、その時に誰か来た。
「あー。あなたかしら?」
そこには茶色の髪の女性。
彼女は垂れ目な瞳をしていてかわいらしい。
服装は…灰色のカーディガン。
カーディガンの中は青色の服。
緑色のしずくの形のネックレスをつけている。
彼女は由々葉へと、走りだすと手のひらを顔の前でピタリと止めた。
由々葉は何かされると思い、少女の手を離してしまう。
その間に女性は少女を抱きあげ、後ろへと下がる。
「何かすると思ったー?しないよ?」
女性はいつきの隣に立つと、少女を地面へ。
少女は地面に足を着くといつきの後ろへと隠れる。
震えていている。
女性はにこっとする。
いつきは、なぜか見覚えがある。
どこで?
いつきと目が合う。
「あれー。あなた見たことあるようなー?まあいいや」
女性は少女を見ると三日月の形の目で口元は笑う。
「いたいた。あなたを探してた人がいたんだよーほら」
いつきの後ろからもう一人少女が来る。
彼女は疲れた顔をしていて…はあと息を吐く。
「早い…」
「早く来なよー、ほら!いた!やっと!力は感じてたけどいっつも行くといないからね~ねえ、美幸」
美幸と呼ばれた少女はこくこくと青白い顔でうなずく。
美幸は黒髪は胸元までで、白のワイシャツを着て、青系のズボン姿。
疲れ切っていたが、少女を見ると時間が止まる。
まるでずっと会いたかったというような目をして…走りだす。
少女をぎゅっと抱きしめる。
「…やっと、会えた。会いたかった…会いたかったよ…!音色」
少女ははっとする。
少女は音色と呼ばれた。
「美幸…ちゃん?」
「うん。私だよ」
いつきは静かに見つめてると、美幸はいつきを見て質問する。
「あなたは?」
「いつきです」
小さな少女、音色が答える。
「いつきおねーさんね、私が迷ってたから手つないでくれたの」
いつきは、ひりっと痛む。
何もしてない。
まだ連れても行けてない。
動けなかっただけだ。
美幸はにこりとする。
「ありがとう」
いつきはうつむく。
「いえ…」
その光景に由々葉は、はあという顔をする。
「なんなの?あんたたち」
色葉は静かだ。
カーディガンの女性は答える。
「とりあえず、この子は見逃して?」
「今は無理ね。その子は…どうにかしないといけない」
「そう、じゃあ。美幸どうする?」
「…ど、どうしよう…会えたけど…」
今のところ解決策はない。
ので、女性はいつきの手を握る。
いつきはびくっとする。
「どうしたらいいかなー?」
聞かれてもわからない!
いつきは困る。
が、カーディガンの女性は出来た穴を見る。
美幸へと聞く。
「じゃあ、こうしよう」
カーディガンの女性はいつきと音色を抱く。
と、穴へと飛び込む。
「…え?え、ま!」
「美幸…これでいいでしょ?」
「え…待って…ここでそっちへ逃げても…!」
三人は穴へと入ってしまう。
美幸は残る。
「…!な」
色葉は、穴へと手を伸ばす。
「いつき!!」
穴は消えていく。
色葉は唇を噛むと、美幸の方へと行く。
「どこにいったの?いつきは」
焦るが、落ち着きのある声を出す。
「……ルアリース」
由々葉は舌打ちする。
「邪魔の邪魔が入るとか………うっとおしい」




