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いつきと迷子 3

その時、いつきは誰かに声をかけられる。


「見つけたわ」


声?

後ろ?


いつきは後ろを向く。

そこには女性と色葉がいた。


「いつき?」


色葉がいった。

いつきは何か言おうとしたが。

女性は、少女をまっすぐに見ている。

女性の目が冷たいからか、少女はいつきの手をギュッと掴む。

いつきは、つぶやく。おそるおそると。


「えっと…」


いつきは頭がついて行かないが。

少女につながれた手だけは分かる。


いつきは色葉の隣の女性は知っている。

色葉の姉。

里先さとさき由々ゆゆは

彼女は声は冷たく鋭い。

黒髪の一カ所にオレンジが染められている。

由々葉は鋭い声でいう。


「その子から離れてくれる?」


「…えっと」


「離れてくれる?早く。」


いつきは離れない。

由々葉はイラッとしたのかいう。


「早くどいてくれる?」


どいてとまで言われた。

でも。

なぜかどけない。

いつきはどけないというより、動けない。


「その子を渡してほしいの?早くしてくれる?」


「あ…の、こ、こどもですよ…?何をする気なんですか?」


色葉をチラリと見ると、由々葉はいう。


「あー、あんた。いつきだっけ?まあ、どいてくれないなら」


由々葉はいつきの前へと来て、手を振り上げる。

いつきは目を閉じるが痛くはない。

目を開けると。

少女が由々葉に腕をつかまれていた。


「…!あ…」


「じゃあ、連れてくから」


少女は嫌がる。


「…離して…!離してよ…!」


「行くわよ」


いつきは動かない。

少女は泣きそうな目でいつきへ手を伸ばす。


「いつきおねーさん…」


いつきは、なぜか体が前へと動く。

そういうことをする方じゃないし、できる方でもないのに。


「あの!その子を…その………」


「何?」


由々葉はにらんでくる。

いつきはびくーっとする。


_うう、怖い!


でも、いつきは声を出す。


「その子は嫌がってます!離してください!」


「は?何?うっとおしいわね?黙っててくれる?」


「で、でも…離してください!」


いつきはもう何も考えずだ。

いつきの姿に由々葉は眉をひくつらせ、いらつかせる。


「関係ないでしょ?」


「あります!!!!」


由々葉はプチリと切れた。


「ああ、うっとおしい!!あんた!」


いつきはビクッとする。


「私たちには私たちのすることがあるの。あんたみたいなのが邪魔しないでくれる」


いつきはうつむきそうになるが前を向く。


黙っていた色葉が声を出す。


「姉様。おちついてください」


いつきへと声をかけるのは色葉。

だけど、色葉はいつきの味方的なことはしない。


「いつき。この子は連れて行かないとなの」


色葉は目をあわせないので、言いづらいのかもしれない。


いつきは思う。


_色葉…。目あわせない。なんで。

でも、色葉がそういうけど、でも…私は


いつきは自分の答えを出す。

いったところでどうにかできるかはわからないが。


「ごめん、色葉」


渡さないとかそういったことは言わず、謝るだけをした。

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