いつきの何でもない日
いつきは、その日は一人で帰り道を歩いていた。
今日は特になにもすることもなく、ぽけーっとして歩く。
空は明るく天気がいい。
「ワー、イイテンキ」
棒読みでいう。
何でもない日は幸せだ。
何でもない日は何も考えなくていい。
これはこれでいい。
何もないもいいこと。
そうだ、いいことだ。
普段は他にすることもあるが。
今日は静かだ。
「ワー、イイテンキ」
家を通り過ぎていると、家から60代ほどの女性が出てくる。
女性は空を見つめる。
いつきは何も思わずに通り過ぎる。
いつきは何も考えずいられるので幸せだなと思う。
「あー、何も考えないで本当に生きていけたらいいのに」
スーパーへと向かうと家にないもののみを買う。野菜とか、生活用品とか、そういうのを。
それからアパートにつくと二階への階段を上り部屋にはいる。
鍵をかけると部屋の中へ
とりあえず帰ってくるのは兄で、後はほとんど帰らず(母は帰ること多い)、がいつきの家の普通である。
すぐ入るとテーブルがあり、キッチンがある。
リュックを床に置くと、テーブルに買い物袋を置く。
冷蔵庫に買ったものを入れると部屋を進み、リビングへ。
低いテーブルがあったり、座布団があったり、あとはテレビがある。
右の戸を開けると寝室で、そこに服かけがあり、学生服を脱ぎ、パーカーと薄いズボンに着がえる。
「あー、洗濯しないと…兄さんは」
携帯を見てみると
“「依頼で遅くなる」”
「そっか」
といってもいつきは料理ができない、ので
とりあえず玉ねぎと煮干しを入れてみそ汁を作った。
唯一いつきができる料理だ。
「よし、いい…だろう」
それから数時間後、かいとが帰ってくる。
六時に帰ってきた。
「早く帰ってきたぞ!」
「あ、おかえり」
テレビのある部屋で二人でご飯を食べる。
特に話すこともなく、ご飯が終わり、いつきは洗い物して、かいとはそれを片付ける。
今日は何でもない日だ。
いつきにとっては。
何も考えずぼーっとしてられる
それをいつきは幸せなことだなと思う。
かいとは、風呂へと行ってしまう。
いつきはさっさと寝てしまう。
布団の中へと入る。
つぶやく。
「寝てるのが一番幸せかも」
いつきは目を閉じた。




