いつきと迷子1
学校が終わると
いつきは一人帰る。
その時、ふわっと、目の前に白が現れる。
その白はワンピースの色。
大きな一つの紫の花の刺繍。
彼女は小さなこどもだ。
いつきは、こども?と思いつつ通り過ぎる。
が、一人で地面につまづく。
「んな!」
いつきは転びそうになる。が、何とか立つ。
「おねーさん」
少女の声。
いつきは後ろを見る。
少女が声をかけてきた。
「おねーさん…あのね」
「な…なんですか?」
「あのね、私…だーれ?」
いつきは目を丸くする。
「いやわかんないです!あなた誰です!?」
聞かれたけどわからないから!
いつきは思った。
その頃、道で。
由々葉と色葉は珍しく二人でいた。
由々葉とは。
里先由々葉
色葉と月葉の姉だ。
「あんたととか、嫌なんだけどね」
由々葉に嫌みたらしく言われるが色葉は負けない。
「私もですが、仕方なくお・ね・え・さ・まといるんですよ?」
「あんたも一応里先のものでしょ?しかも、月葉を守れなかった」
由々葉の目は鋭く冷たい。
色葉は傷ついた顔をする。
「その通りです……私のせいです……」
色葉はどこか目をふせる。
由々葉はその反応に苛立つようにいう。
「悲劇のヒロインみたいな顔やめてくれる?」
いつきと少女の方へと戻る。
いつきは、とりあえず膝を地面に置く。
少女と目を合わせる。
「ごめんなさい…私何もできません…あっ!でもゆらさんなら何かわかるかもです!…」
少女は静かにうなずく。
「あっ!そうだ。私はいつきです。あなたは誰ですか?」
いつきははっとする。
あっ!分からないんだっけ…。
「ごめんね!えっと!名前は…?」
少女はうつむく。
「わからない…でも。いつきおねーさんだね」
「そう!いつきおねーさん!お姉ちゃんでもいいよ!」
「いつきおねーさん」
「あ…うん。行こっか」
いつきはとりあえずゆらのもとへと向かうことにする。
歩き出すと、少女はいつきの手を握る。
「…いつきおねーさん。私………ここ、いたい」
「え?」
いつきは静かにそっと手をつなぐ。
「私ここ…………いたい」
「…………うん?」
ここにいたいがどういうことかわからないが。
妹とかいないから妹がいたらこんな感じなのかなと思う。
一緒に歩いていく。




