クロリネとの時間
クロリネはかいとといる。
クロリネは笑う。
「かいと様。桜様のことを守りたいですか?」
かいとはすぐに答えたい、が。
「守れ…守りたい」
「守りたいですか。素晴らしいですね。良いですね。守るとは、素晴らしいことです」
かいとはうつむく。
ほめられている。
喜べない。
喜ぶことが出来ない。
「あ…うん……」
「素晴らしいです。誰かを守る。守ろうとする。努力しないとですよね。守るために様々にする。あなたは努力してきた方なのですね」
かいとはうつむく。
努力なんて出来ていたのか。
かいとは自信がない。
今でさえ自信はない。
「努力なんて、まだまだで、まだまだだ…」
「あなたは強く、優しい方ですね。桜様。あなたのこと愛してしまうでしょうね。恋する、以上に愛してしまうと何だか感じました。あなたのこと何も知りませんが」
クロリネは話していく。
「かいと様は自分は努力が足りないと思うのですか?」
「努力なんて…言葉にも出せないよ」
「力があるのにですか?」
「これは、えーと、祖先からの力みたいなのもので、俺は持ってただけで、力持っただけなんだから、努力なんて言葉も出せないよ」
「力があるのにそんなこと思うのですね」
クロリネは心から笑う。
「桜様。あなたを愛したというのがなぜか何だか分かってしまったかもです。あなたは愛していますか?桜様のこと」
かいとはうつむく。
「あ、愛とか分からないけど……」
「分からないのですか。僕も分かりません。いつか分かるといいなとも思っていません。なぜかあまり好きな感情ではありませんね」




