クロリネ
クロリネはかいとを離さない。
「かいと様。楽しいです」
かいとはえっとなる。
「楽しいのか?」
「楽しいです。かいと様は桜様といる時間楽しいですか?」
かいとは顔を赤くして答える。
「た、楽しい……ですけど!!!」
「そうですか。楽しいのですね。一緒にいて楽しい。幸せを感じられる方がいるということ。大切にしなければなりませんね。でも。だからこそ大切に出来ない時もある…のでしょうか?僕には分かりませんが」
「クロリネも楽しい…だろ?」
「楽しいか分かりませんが見ていること。好きです」
クロリネは優しい目をした。
心から優しい目であった。
クロリネは続ける。
「一緒にいられるだけで楽しい時間を過ごせるなら。大切に出来るなら、って。それだけで幸せといえるものではないですよね。様々に困難も起きますよね。それでも楽しかったといえるなら…なんてすみません。おかしなことをいいました」
かいとはいう。
「いや、そうだよな。何かしらあって、それでも楽しいとか言えないときもあるよな…」
「すみません。僕。楽しいだけの話。出来ないんです」
「いや、それは、そうだよ」
困難やら様々なことが起きる。
クロリネはお礼をいう。
「暗い話をしていますが。聞いてくださりありがとうございます」
「あ…うん」




