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敵
クロリネは敵。
桜にとってクロリネは敵。
花びらがクロリネへ突き刺そうとした。
かいとは前に出る。
「だめだ!!傷つけたら」
桜の花びらが止まらないが、地面に突き刺さる。
かいとは動かない。
「止まった…」
クロリネは楽しげに微笑んでいる。
「桜様。美しいですね。あなたが悪なら怖ろしい。怖いです。怖くてたまりません」
クロリネは怖がってない。
怖がってない。
楽しんでいる。
かいとはゾッとした。
桜の花びらは止まっている。
かいとは花びらに触る。
「桜子……」
クロリネは微笑む。
「安心してください。僕は楽しみに来ただけですので」
桜の花びらはかいとの中へと吸い込まれる。
「桜子…その…一緒にいるから…」
桜は安心するようにかいとを抱きしめた気がした。
クロリネは笑う。
氷が溶けていく。
「桜様が気になります。まだまだ知りたいです。かいと様。僕とお出かけしませんか?」
かいとは「え」となった。




