あるアパート
あるアパート
かいと、いつきがいる。
そのある一室の扉の前にクロリネがいる。
クロリネは笑顔でいる。
これから会えることを喜んでいるようにも感じるが。
「気配はしますが。お部屋にいるでしょうか」
そこへ扉が開いた。
かいとが外へ飛び出た。
「いつき、俺出かけてくる…ん?」
いつきは兄へ手を振る。
「気をつけてね!……ん?」
クロリネの姿に驚く。
クロリネは丁寧に頭を下げ、挨拶を済ませるとすぐに本題に入る。
「桜様。どこにいますか?」
かいとはビクッとする。
「桜様。どこにいるのですか?」
桜がどこにいるかを聞いてくる。
何度も聞く。
聞く。
話すのをやめると。
笑顔の圧力を与える。
「桜様。お話したいです」
かいとはあわてる。
「あ、えと、桜って、ええと」
クロリネは笑う。
「桜様の気配がするのです…あなたの中にいるのでしょうか。美しい桜の花の光景忘れられません。桜様はあなたのことがお好きなのでしょうか」
かいとは顔が赤くなる。
「愛されてますね。その愛が…歪んでなければ」
クロリネはかいとへいう。
「僕。クロリネとお出かけしてくれませんか?かいと様。」
かいとはハッとする。
「名前は?」
クロリネは顔を覆う。
「忘れていました。僕はクロリネです。失礼しました」
「あ、うん…で、出かけるって?どこに?」
「良いですか?」
「お、おう…いつき行ってくる」
いつきはあわてつつ手を振った。
かいと、クロリネが部屋を出る。




