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大嫌いではないけどそれは嘘か その後29
イロノルレフ亜は笑う。
逃げの間の者を抱く。
「大嫌いっ☆」
“イロノルレフ亜様は嫌いはっきりいいますね”
「帰ることはできても嫌いーっ嫌いではないけーっ☆好きとはいうけどーっ☆心の奥底では嫌いーっ☆」
嫌い嫌い
嫌い、それがイロノルレフ亜だ。
嫌いから生まれた者でもある。
嫌いから生まれた彼女は嫌いなのだ。
何もかも
でも、好きでもある。
心はどこにあるのか。
本当はどこにあるのか。
どこにも本当はないのかもしれない。
イロノルレフ亜は笑う。
笑顔で悪意を振りまく。
逃げの間の者はイロノルレフ亜の言葉が嘘でも本当でもいい。
”イロノルレフ亜様のことやっぱり好きです“
「好き、かー。私は好かれるものじゃないなー。だって、ウソをどこまでもつけるもの。本当もウソがつける、私はっ☆」
“イロノルレフ亜様は嘘が上手だとしても…あの、私たちのこと大事にしてますよ”
「そーかなっ?」
イロノルレフ亜はニコリと笑った。




