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桜子と色葉 月葉

同じ日の桜子の話。


「…」


桜子は、一人で歩き、キョロキョロとする。

彼女はかけらであった。

人の姿となり、結構自由ではあったが本当の自由ではなく、過ごしていた。

今まで見守としてかいとや陸がそばにいたが。

その役目はなくなったことで。

桜子は今、一人で様々な場所を歩き、色々なものを見る。


「………」


桜子は思う。

(これでかいとくんや陸くんに迷惑はかからないよね)


ずっと、迷惑はかけたくないのにかけていたから。

一人となり、正直ほっとしている。

それが桜子。

みんなもそうであるように、彼女も誰かに迷惑をかけたくない一人だと思う。



一人となり、彼女は、色々見る。

公園の木々の揺れる所とか。

川を見たりとか。

道のピンク色の花とか。

今まで、あまり、一人でというのがなかった。


「きれいだな…」


といっても、桜子は今まで本当に誰かがそばにいたんだなと思う。


そこへ。


「桜子先輩!何してるんですか?」


色葉がいた。

桜子は目を丸くさせたが、あまり警戒はない。


「色葉さん。私は…色々見てたの」


「…………見てて楽しいですか?」


「うん。楽しい。とっても」


桜子は。

かいとのことを思う。


(かいとくんが隣にいたら、もっと楽しいだろうな)


桜子はどうしても気になることがある。


「色葉さん!」


急に呼ばれ、色葉は


「ふぁい!」


と答えてしまう。


「かいとくんのどこが好きなの!?私はかいとくんとどうしても近くにいたいの…だからはっきりいうんだけど!」


桜子は冷たい目をするが。恥ずかしそうになる。


「かいとくんにはその、あんまりその…くっついたり………その、ね」


桜子が恥ずかしそうなのに、色葉は自然にいう。


「私かいと先輩、好きなんです。かいと先輩って、困らせたくなるし」


桜子はそこは同じく。

頷く。


「………わかるわ。かいとくん。困らせたくなるのよね………」


「わかります!?あの、慣れてないかんじ!」


「慣れてないってあなたは、その…男性とか…慣れてるの?」


「いえ!慣れてないです。でも、かいと先輩はその、なんか…意地悪したくなるんですよねー」


「…………うらやましいかも。私、あんまり、その、本当は……自分からって、恥ずかしいし……それに……………」


桜子はずーっと思ってたことをいう。


「私、かいとくんとつきあってないのに!彼女みたいに…してて…………わああ………重い…!!」


桜子は顔を覆う。


「うう………嫌われてるよ………かいとくんに…きっと」


そこへ後ろから月葉が現れる。

ずっと色葉の後ろにいたようだ。

色葉は、にこっとする。

桜子に対して、なんか、優しい笑顔。


「こんにちわ、桜子お姉ちゃん」


桜子は驚いているが。

月葉は桜子に抱きつく。

月葉は色葉が好きで、桜子も好き。

月葉は、自分が強いと思う相手が好き。

だから。


「桜子お姉ちゃんは、強い感じがするー」


色葉はいう。


「桜子先輩のこと好きだよね。月葉」


月葉は目を輝かせる。


「強いから好き!でも!一番好きなのは色葉お姉ちゃん!」


桜子はあわあわとする。

抱きしめられるのはあまり慣れてない。


「あ、あの………」


月葉は、にこーっとする。


「桜子お姉ちゃんとかいとお兄ちゃん応援してるー」


「………月葉ちゃん………。かわいい」


桜子はうれしそうに、月葉の頭をなでる。

月葉は、桜子には、なぜか柔らかく話をしてしまう。


「わーい、ほめられたー。でも」


月葉はこのことは知っている。


「危なくなるなら、私も容赦しない」


一瞬の鋭い目。

赤井のことは伝えずとも伝わる。

里先にとって赤井は敵じゃない。

敵じゃないが、情報は伝わっている。

桜子は少しゾッとしたが、それこそが月葉と思える。


「桜子お姉ちゃん好きー」


色葉は、月葉のうれしそうな顔を見て、ほっとしつつ、「ん?」とする。


「月葉、なんで桜子先輩を応援するの!?」


「お似合いだよー」


「なっ!」


月葉はにこっとする。

桜子を応援すれば。

色葉とかいとは一緒にならない。

だからだ。


「桜子お姉ちゃん、応援してるから!」


桜子は純粋な瞳に。

こくりと頷く。


「…あ、ありがとう…」


月葉は。

何となく、桜子とかいとが一緒になることが一番と思う。

なぜか。

月葉はなんでかはわからないが。 

そう思う。

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