ゆらとシャンディ1
かいとが草太と数秋と会う同じ時間。
ゆらは、屋上にいた。
短い髪が揺れる。
ここにいるのは。
誰かを待っているから。
そこへ、シャンディが来る。
「来たか。シャンディ」
「ゆらだあ」
シャンディは、すぐに両手を地面につけるとゆらの腹を狙い、足裏を向けた。
「お前、急に」
ゆらは腕で足を掴むが、シャンディは、足をジタバタさせ、ゆらの手から離れる。
ゆらは、もう一度、足裏を向けられたが、ひょいと避ける。
シャンディは、立ち上がるという。
「うーん、まだまだだなあ、私」
「何で急に攻撃してきた?」
「ん?何となく」
「何となくで攻撃するな、お前」
「ごめんごめんだあ」
ようやく本題に入れる。
ゆらは質問する。
「最近変な道具がうわさされてる。お前だろ。問題になってるだろ」
変なものとは。
それは。
ゆらは一応いう。
「迷惑にならない程度ならいいが流行ってるらしいな」
「ちょーとなんだあ」
「ふざけた話し方をやめろ。お前。あれどこで手に入れてる?」
「ナイショだあ」
シャンディはにこにこーっとする。
「どこかだけ教えろ」
「何が問題なんだあ?困ってて、どうにもならない人がいる。その人のための道具だあ」
シャンディは冷えた目をする。
笑顔が消える。
「これは復讐の道具。直接それができないから道具が必要な人がいると思うけど」
ゆらへ透明な氷の目を向ける。
「この道具を使われる奴が悪い」
「………………それは」
ゆらは黙る。
シャンディはにこーっとする。
「なら、いいでしょ」
シャンディはニコニコとする。
そういう人だ。
でも、誰かを助けるためじゃない。
そういう人だ。
ゆらはそれでも聞く。
「今、その道具は持っているか?」
「んー?」
シャンディ。
カタンと、何かを地面に落とす。
「あ」
落としたものは石のようなもの。
ゆらは聞く。
「それは?」
「んー。ちょっとしたものだあ」
石が、ぱっかりと砕けた。
シャンディはその前にいて、ゆらに隠すようにする。
「気にしないでだあ」
ゆらは前へと進む。
シャンディは動かない。
石から、何か出てくる。
うねっとした何か。
何だ。あれ。
ゆらは頭を抱える。
「なんか出てるぞ。後ろ」
シャンディは、口笛を吹こうとして、ヒューヒューとしてる。
ゆらは後ろのものが気になる。
「後ろのは何だ?」
シャンディは、後ろに気づいてなかった。
「んー?」