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青の者 青標食852

青の者 

青標食


ある真っ暗な場所で

青命の者がいた。

そこはただ一人で

誰も知っても知らない

誰も誰も知らない

真っ暗な闇

そこにいる

誰もここにいると知らない

冷たくはない

寒くもない

でも

孤独

戦うためにいる

戦わないといけない

何かある時しか、ここを出れることは出来ない


そこに現ツミウという女性がいる

そして青の者が一人いる。

ここにいる


ツミウとは誰なのか

青の者は驚く。

まだ現ツミウという人を知らないのだ。

これから青の者は彼女と出会っていく。


「私はここにいるのですね。あなたもここにいるのですね」


青の者はいう。


「ここにいるのは決まりで、ここは出れない。何かある時までは」


現ツミウは距離感を近付けずに話す。


「そうなのですね……」


現ツミウは話すことに困っているようだ。

青の者は静かにいう。


「話すことに困ってる感じだね。私はもう行くから戦わないと」


「はい…」


現ツミウはあまり何もしゃべらない。

青の者は一人戦う。

そのために来ているから。

ただ、戦う。


戦い続け、急に体に終わりが来る。

現ツミウはそこへ来る。

膝をつけると。

血に濡れる手に触れ、握る。

青の者は、いう。


「何で手握るんだ…?」


現ツミウは瞳を潤ませていたが、涙は落ちない。


「私が…そうしたくて…手を握りたいからですね」


手を握りたいから

そう思ったから

理由はそれだけ

それ、だけ

それが

そのことが

どれほど温かく感じたか

その握られた手が熱い

温かく、熱い

現ツミウの温かさを感じる


「………そうか……別に礼なんかいわないぞ」


現ツミウは更に手を握る手に少し力を入れる。


「お礼は…いりませんね。私がそうしたいのですね。どうしても、私がそうしたい、のですね」


青の者は笑ってしまう。


「そうしたいんだ…………そっか」


言葉を続ける。


「手握られるってこんなに熱くて………」


何とか言葉を続ける。

心からの言葉を出す。


「あったかいんだな……知らなかった」


現ツミウはうなずく。

現ツミウは強く頷く。


「………私も知らないですね。今、わかりましたね」


「……そっか。あったかいよ。うん………」


青の者は現ツミウを見てから静かになっていった。

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