いつきとかいと
夜。あるアパート
いつきとかいとは、帰ると色々とすることをしてしまう。
ちなみに。
二人の母。
はなのは、置き手紙を残してもういない。
“「行ってくるわー」”
とだけ書いてあった。
いつきは、床に座って聞いてみる。
「兄さんは有理架さん好き?」
かいとは素直に答える。
「好きだな」
その言葉に。
いつきはグイグイくる。
肩を掴む。
「好きなの!?」
かいとは肩を揺らされる。
「好きはわからねーって!でも嫌いじゃないし!」
「そっかー。有理架さんきれいだもんねー。いやー。兄さんはもてもてだねー。うらやましいわー」
「いや、もててねーし」
「もててるように見えるよ?」
かいとは、そういわれても困る。
「優斗が有理架のこと好きなのに…………どうして、俺に有理架はかまってくるんだ?」
「え。わかんない。というか、兄さんを好きになる女の子が多いよね…………うーん、あれだね」
いつきは上へ指を向ける。
「主人公みたい!」
「やめろ」
かいとは、鋭い目をする。
「主人公は、かっこいいから好かれるんだ!俺はかっこよくない!主人公は優しい!俺なんかと一緒にしたら失礼だ!」
はっきりという。
「じゃあ、兄さんはかっこよくて優しいのかも」
かいとは必死になる。
「やめるんだ!俺は前、主人公みたいなことしてるなって失礼なことを思ってしまった」
かいとは、しゃべり出す。
目が本気だ。
「俺は主人公でもないのに、そんなことを思った。主人公は、一生懸命で頑張る。俺はそうじゃない!」
いつきとしては。
かっこいいは別として
意外と優しいし
一生懸命?な気はするし
頑張ってるような気がするが
「主人公とは!諦めない!必死!頑張る!一生懸命!優しい!」
かいとは自分を指さす。
「俺とは違いすぎる!」
「んー。そうかな?」
かいとは、はっきりという。
自分はそうじゃないと。
気づいてないのだろうか。
「まあ、いっか」
「俺は……好きがわからないし………」
「私もだよ(色葉のことは好きだけど)」
「俺だって好きがわかりてーよ」
「好きって何だろうね」
かいとは、頭を抱える。
「わからないから!困ってるんだ」
「好きがわからないのは…困るね」
好きがわかる時なんて来るのか?
好きは…何なのか。
わからない。
わからない。