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逃げの間1

闇の中だった。

暗い部屋の中だった。

そこにいられたから私はそこにいた。

引きこもりというものに分類される。

私はそういうものだ。

働く気だった。

必死だった。

嫌なことを言われても、我慢は必要。

そんな当たり前のことをわかっていた。

暗い部屋の中に光は入らない。

少しだけ、少しだけ光があればいいのに。

どうしたらいいかわからない。

どうしたらここから出て、もう一度みんなのようになれるのかわからない。


わからない


「わからない」


私は一人で下を向きつぶやいた。






目が覚める。


「…?」


そこは、いつもの部屋じゃない。

そこ、は…。


「教室…?」


そこは教室の中だった。

規則正しく並べられた机と椅子。


「どうして、こんなとこに?」


私は教室が、学校が嫌いだ。

だって、


教室へ誰かが来る。


「誰か、いないか!?」


そこには黒髪で黒い学生服の少年がいた。

汗をかいていて、私を見ると、うれしそうに叫ぶ。


「いたぜ!」


「え」


少年は私の方へと来る。


「俺はかいとだ」


「…」


「よかった、いて…」


「あ、の」


「はっきりいう、ここは逃げの(にげのま)だ。」


「?」


「逃げたんだ、あの世界から」


私が逃げた?いつ?いつ逃げたのか?そもそももっと前から、私は。


「だからさ、俺は探しにきたんだ」


「わからないです…急になんなんですか…?」


「ここに来たあなたを助けてほしいと言われたんだ」


「?」


何をいっているんだろう。

この人は。

私にはわからない。


「この場所から出るには自分で出口を見つけるんだ、俺はここの怪物を倒す」


「自分でって?」


「俺ができるのはあの怪物を倒すことだけだ」


どういうことだ。


「私は…?どう、したら」


かいとはぐっと拳を作り、親指を立てる。


「あなたは自分一人で戦える」


「できません…そんなこと」


戦えない。

一人でなんて。

私は何もできない。

かいとは目を細める。


「ここから出るか、出ないかは自分で決めろ」


かいとは教室を出て行った。


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