いつき かいと 草太3
廊下
かいとは、廊下で男子生徒といる。
珍しい。
いつきは驚く。
_女の子じゃない!?
いつきは静かに見つめる。
かいとの前にいるのは男子生徒。
彼はいう。
「かいとくん。君へ聞きたいことがある」
いつきは、見つめる。
男子生徒は。
「君は女性に学校以外でもてると聞いたのだが!どうしてなのか!教えてほしい!」
男子生徒はかいとの肩を掴む。
かいとは、困った顔をする。
「え!?いや、もててねーから!」
「知っているぞ!赤井桜子さんに好かれ!一年の里先さんに好かれ!黒髪ショートのお姉さんといたこととか!着物の女性とか!」
いつきは思う。
_誰が見てるんだろう……………
男子生徒は必死だ。
「僕は女性にもてたことがない!一度も!頼む!教えてくれ」
「いや、もててないし」
「僕は一度でいいから!女性と手をつないでみたいんだ!」
男子生徒は涙ながらにいう。
いつきは静かに見つめる。
男子生徒ははっとする。
「誰か見ているのか?」
いつきの方を見る。
いつきは隠れる。
男子生徒はいつきの方へと行く。
「覗きとは、よくないな」
「…あ………ははは」
「女性!?もしかして僕を見て…」
いつきは即答。
「見てないです」
男子生徒は続ける。
「僕へ熱のある視線を」
いつきは冷たい声で。
「見てないです」
「いや、もしや…告白?」
いつきはにこっとする。
怖い顔で。
「見てないです。私は好きな人がいます。勘違いは校舎裏でお願いします」
男子生徒はさすがに頷くが、何ごともなかったようにいう。
「君は?」
「いつきです…あっちの兄の妹です」
「妹さんか。妹がいるっていいね!」
かいとへ輝いた顔をする。
かいとは肩を落とす。
いつきは、かいとの方へと行く。
「この人誰ですか?兄さん」
「あ…十維路草太っていうらしいけど…」
「へえ…」
草太はかいとへという。
「お願いだ。かいとくん。僕は女性と手をつないでみたいんだ!」
「そんなこといわれても」
かいとが困っている。
いつきはうーん?と思う。
_モテたい…か
いつきは、静かに質問する。
かいとの後ろで。
「どうしてモテたいんですか?」
「え…女性と一度もつきあう…とか、そもそもしゃべるのも君がはじめてくらいで…」
「…そですか」
いつきは、かいとの背中に触れる。
「兄さん、がんばって」
と、去る。
いつきはめんどくさそうなことに自分が関わりたいと思わないと、近寄らない。
そういうとこははっきりしてる。
かいとは、いつきへ声を出す。
「い、いつき。待ってくれ」
いつきは去る。
草太は続ける。
「かいとくん。お願いだ」
「今日はだめだ…から」
「明日はいいかい?」
「あ………待ってくれ、明日にならないとわからない」
いつきは思う。
何というか、かいとのまわりは色々あるなと。
_人との関わり。
がんばれ
兄さん
いつきは廊下を歩いて行く。