存在しない愛情があるのなら623
現世界とも似世界とも繋がる場所で
どこか
いつき 逃げの間
いつきは上へと向かう。
花を髪に飾られた少女は、話しかけられる。
_いつき、不安?
_不安ですよ………でも。行くと。でも、この花飾りと逃げの間さんがいれば行ける気がします
_私も?
「はい。なので…その側にいてください」
_もちろん!いるよ!
そこへ先ほどの巨大な力がやってくる。
いつきはその存在からは逃げられない。
_いたな。お前、邪魔はさせない!!!
いつきは突っ込んで来る力を避けない。
避けてはいけない。
力はぶつかる。
いつきは青に包まれている。
どこか、何かが違う
いつきは凜とした表情だ。
「壊したいなら壊してください」
_壊そう
「それで、あなたがいいのなら」
_邪魔させない
いつきはあ…となる。
「でも…………そう思いますが」
_消えろ
いつきと逃げの間に痛みが走る。
「私。まだ壊されて消えられないです」
花飾りに触れる。
これがあるなら ここで壊されてはいけない
そう思える。
いつきは感じた。
この力の憎しみも
そして、花飾りという力も
いつきはなぜか
“存在しない愛情があるのなら
存在しない愛情が私をここまで連れて来たなら
存在しない心が私を連れて来た、それが本当なら
私はここで消えられない
存在しない愛情がある”
いつきは花飾りを髪から外すと痛みを引き起こし、ぶつかってきた力へ渡すようにする。
「ごめんなさい。あなたを助けられる時はないと思います。でも」
いつきがもう一つの花を持つ。
力へ彼岸の花が添えられるように。
_壊す、そういうものに
いつきは抱くようにする。
力は壊すことだけに集中している。
いつきは抱く。
それでもいい。
花飾りと彼岸の花は力を消していく。
強いはずの力は
_何で………消えて、って
いつきは一層強く抱く。
「消すしかしませんが抱きしめます」
_憎い、憎い
「…………」
いつきは痛みがあっても抱きしめることにした。
力は小さく、弱々しくいう。
_これでどうにかなるなんて思うな………
消えていく。
いつきは抱く。
なぜか、その行動であった。
消すとしても抱いて。
それで何も救われなくても
「あなたが一人と感じないでほしい……なぜかそう思います」
力は憎しみを持つ。
けれどこの花たちも力を結ぶように抱く。
_こんなもので…こんなもので……憎んで
いつきは花と共に抱くと。
力は消えた。
いつきは花飾りは消えたが。
気持ちは残っているため。
向かえる。
存在しない愛情が力を消した。
憎んだまま消えた。
いつきの受け取った花飾りは頭にない。
あ、となるが。
渡したことに後悔ない。
いつきはまだ辿りつかない場所へ向かう。




