夜
あるアパート
夜に誰か来る。
かいとは、目が覚めてノックが聞こえ、いう。
「誰ですか?」
「夜遅くにすみません。俺は赤井悠磨です」
かいとは驚きつつ、戸を開ける。
そこには赤井悠磨。
優谷仁。
中先隼斗。
がいた。
かいとは。
_悠磨さん!?な、殴らないと…!
「な、何だ。急に。それより、桜子を攻撃して…殴ると決めてたんだ!」
殴ってやろうと考えていた。
かいともあわてたのか、拳を作って向けてしまった。
その手を仁が前に出て、かいとの右腕を掴む。
「悠磨さんに手出すな」
_は!?こいつ!
そこへ、いつきが目じりをこすりながら来る。
「兄さん。どうし………あ、悠磨さん…たち?こんばんわ」
いつきは全くあわててない。
「兄さんにも謝りに来たんですね…」
かいとはいう。
「謝りにって?」
悠磨は頭を下げる。
「謝ってすまないのはわかるけど…本当にすみません」
隼斗も頭を下げる。
「能力を使い、言うことを聞かせようとしてすみませんでした」
隼斗も同じく、謝罪の言葉を続ける。
仁は、やはり謝りはしない。
かいとは、落ち着き、思う。
_謝りに来るなんて真面目な人たちだな…
悠磨は仁を静かに見る。
静かに何も言わず。
仁は、頭は下げないが、いう。
「悪かった」
「仁くん」
「悪かった………で……す」
いつきは思う。
仁は謝らないというよりも、正しいことをしたという気持ちの方がある気がする。
かいとはいう。
「…あ…俺、いきなり殴ろうとして…悪かった…です」
_殴りそうだった…
かいとは仁を見る。
「仁ていうのか?…………その、ありがと」
仁は「は?」という顔をする。
「殴ろうとして、止めてくれてありがとな」
仁は反応に困る。
「……は、えっ、と…………」
悠磨はかいとへという。
悠磨は自分は曲げない。
「…けれど、もしかいとくんたちがこの場所にとって本当に危険になれば君たちを壊す。それは曲げない」
本当にそこだけは曲げない。
かいとは、何だか…逆に信じられると感じる。
なぜかわからないけど。
かいとは、まっすぐに悠磨たちを見る。
「そうならないように生きていく」
悠磨も、なぜか変に安心をしてしまう。
かいとの言葉が本気だという感じがする。
適当に答えてるわけではない。
だからか。
それから悠磨たちは帰る。
悠磨は静かにいう。
「かいとくん。君に殴られてよかったと思ってる。あの時」
_は!俺殴ったんだったあの時…!
「あ…えと」
「殴ってくれてありがとう」
お礼をいわれてしまった。
三人は行ってしまう。
いつきは、玄関で見送ると、扉を閉める。
「私にもちゃんと謝ってくれたの…真面目だよ…ほんと」
「…あ、ああ。………」
それからかいとは部屋へ戻る。
「…謝られてしまった……」
謝ることはあっても謝られるのは慣れていない。
「…自分をそれでも、曲げない人なんだな…悠磨さん」
それから三人は。
仁はイライラという。
「わりぃことなんてしてないのに何で…こんなこと!」
悠磨は静かに答える。
「傷つけたのは俺だ。本当は俺一人が謝ら…」
隼斗がすぐにいう。
「違います。俺は自分でそうしたんです。俺が謝罪するのは当然です。たとえ、許されなくても」
仁はあっちを向くがはっきりという。
「選んだのは俺だ!でも!」
隼斗は仁の口を塞ぐ。
「…仁、夜だから静かに話せ」
「な、隼斗!はなせ!」
悠磨は二人を見つめる。
静かに質問する。
「二人は……これから本当にどうする?」
隼斗は即答。
「悠磨さんの近くにいます」
仁は隼斗から離れると、悠磨の目をまっすぐにいう。
「俺だって…!います」
悠磨は、少し、困った顔をする。
「二人は二人の生き方をすればいいと思うよ」
隼斗は片膝をつく。
悠磨を見上げる。
「あなたのそばにいたいんです」
「…え。うーん、……そんなに丁寧に……」
仁もいう。
「俺、それでも…近くにいたいです…」
「えっと、二人とも…あの、本当、好きに生きる気ないの?」
仁はにかっとする。
「悠磨さんといることが俺の好き?っていう生き方だ!」
悠磨はどこか目を細めたが…こんなにいわれてて、何かもいえない。
「わかった。近くにはいてほしいな」
仁も隼斗も悠磨の困った顔をどこかうれしそうに見つめた。




