似世界 どこかの場所603
似世界
いつき
逃げの間の者
絡まる力が周りに起きている。
いつきの周りに漂う。
いつきは動けなくなる。
向かうのだ。
向かうまでにまだ、だめだ。
絡まる力は寄ってくる。
いつきが消されると思い、逃げの間の者は焦る。
いつきは手を伸ばす。
まだ、この場所から出れない。
いつきはその理由が何となく分かる、気がする。
絡まる力へ手を近付ける。
多分、と。
絡まる力に触れると手が赤くなる。
痛みがあるがいつきの手は消えたりはしない。
「知られたく、ないと思いますが………」
多分、と。
「知らないで何かをする、いや、されるのも…嫌ですよね…?」
多分、と。
知る必要はない。
けれど何も敬うような気持ちがなく、力をただ使えば。
いつきは絡まる球体を多く見る。
向かってくるが。
目を閉じて静かにする。
_いつき!?危ない!
「分かんないですが……えっと、私は攻撃とか出来ないので………それに」
絡まる力は向かう。
今力を使おうとする。
だが。
何かをするために心が
まだ、まだ……
いつきはようやく気づく。
何かをするための
必要なこと?
いつきは自然に言葉が出る。
「私、こういうのえーと………力が使えそうだからって偉そうな気持ちがあったかもしれないです………そんな気持ちある人…嫌ですよね」
絡まる力に触ったまま、熱さがある。
熱がある。
「そんな気持ちあることに気づかないで力を使おうなんて嫌ですよね」
いつきは自分でも気づいていなかった。
絡まる力は更に近づく。
ここで消されるのは困るが
力を使うとしたら
ちゃんと知らないと
心を持たないと
そこへ
絡まる力はいつきへ近づくと
_力を使うとしたら……
_その気持ちは必要だ
絡まる力はピタリと止まる。
いつきは目を開けてみる。
動きが止まる力に驚く。
逃げの間の者の声がする。
_と、止まってる!?
「あ…………」
何かがつぶやく。
_気持ちも気づかずに力は使われたくない。
……………気づいた、か
気づかなかったら勝手に消えていたのに
絡まる力が止まった?
なぜ
_気づいた者に私はもう近づけない。
いつき、逃げの間の者は頭を下げると上を目指す。
絡まる力は他の向かってくる絡まる力の方を向く。
_私とは違い、消えるとしても向かってくる力がいる………




