似世界 貫かれたシルベ599
似世界
壊れたシルベ
シルベは赤の塊の現す爪に貫かれた。
けれどニッと笑う。
航坂はシルベの隣にいた。
_シルベ
青の羽根たちは消えて、消えていく。
羽根はパリインと割れた。
「消えたけど………」
消えていく羽根たちは壊れたシルベへと集められる。
シルベは剣を持つと。
まずは。
青の羽根たちは一度消えたが集められたことで剣に集められていく。
他にも航坂のクリスマスベルの力も剣に吸い込まれた。
赤の塊は爪により、守られている。
シルベはいう。
「成せなかったるてね。けれど足りないものがあれば成せないるて。分かっている、よねるて」
剣に集められた力は強さがある。
果たせない理由も。
ようやく気づく。
シルベは笑う。
「何でも一人じゃ何も出来ないってことだねるて。私も一人で色々出来たらねーるて。まあ、出来ないんだるて」
それがよく分かってしまう。
壊れたシルベも剣と航坂がいないと結局戦えない。
「はあ…………」
ため息が出る。
それは青の羽根たちも同じな気がする。
「悔しいるてね。赤の塊を壊さなくていい。でも、青の羽根のあなたたちは果たしたい。はあ………目的が変わった」
けれど果たしたいのは自分たち。
どちらにせよ
シルベの本能に動く。
剣を握る。
爪は向かってくる。
赤の怪物と一緒に
恨みも憎しみもなくならない
壊れたシルベと航坂は前を向く。
青の羽根は剣に集められ、形が違う。
青色の羽根のある剣になっている。
失敗だとか
成功だとか
どうしても考え続ける
あの時とか
その時とか
剣を抱くのは壊れたシルベだ。
彼女は優しさや想うという心では抱かない。
「壊れた私のしたいことは…どうしても叶わないるて。けれどあなたたちの願い。果たしたい。それを私は叶えようとしている」
赤の瞳の怪物を静かに斬る。
赤の怪物を想い、斬る。
赤の塊を守るようにしている爪と。
シルベを狙う爪が来る。
シルベはタッと走る。
避けずに爪を受ける。
後ろへ押されていく。
押されていくが。
もう今は後ろへ下がらない。
青の羽根たちでは足りなかった。
どうしても壊れたシルベが必要であった。
だから、今は全てが一緒になっている。
「私が嫌としても果たす。そうるてよね」




