陸とミカオ5 終わり
陸はミカオへお礼をいう。
「ミカオさんありがとうございました」
「…うん」
ミカオは切れたフードを抱きしめる。
「帽子………………」
陸はフードを見て、頭を下げる。
「僕のせいですみません!あの…僕」
「……怒ってない……………」
「すみませ………」
ミカオは、陸の服の端っこを掴む。
上目づかいで陸を見上げる。
「……陸…悲しそう…」
「え?」
陸は驚く。
「僕、悲しくないですよ」
「………うそ………頭」
「頭?ですか?」
陸はミカオの前で膝をつく。
「………なでなで…」
陸は頭をなでられる。
柔らかく、柔らかく髪をなでる。
「ミカオさん…?…」
「なでなで………うれしくなる?」
陸はミカオのどこかボーッとしてるような顔を見つめる。
陸はニコリとミカオを見上げる。
「…はい。うれしくなります」
「…………うん………」
フードをミカオは胸の前に抱きしめる。
「帽子………気にしないで………」
「…すみません……」
「治してもらう………大丈夫……」
ミカオは小さくピースをする。
ゆっくりと。
「…あ…ありがとうございます」
ミカオと陸は別れる。
陸はフードが気になる。
でも、縫い物とかできないのに、勝手なことして、大変なことになったら大変だ。
上を見る。
空は青い。
陸はつぶやく。
「…選ばれないけど、それもいいよね」
_選ばれたことは一度もない。
誰かはみんな自分以外を好きになる。
でも、そんなものなんだろう。
きっと。
でも。
「選ばれなさすぎるけど…悪くないかも」
_というかさ、選ばれるのを待つとか、そんなことよりも
_僕が誰かを見つければいい気がする
_たった一人の誰かを
_選ばれないなら
_自分が見つければいいんだ
「…どうしてそんなことに気づかなかったんだろ…」
_選ばれないとか、僕は……………
_自分のこと嫌いなのに好きになってほしいななんて、何いってたんだろう
_見つけよう。自分で誰かを